1ուր 2ուրեմն 3ապրեալք 4ի 5ծփանացն՝ 6արշաւանս 7դնեն 8յիւրաքանչիւր 9գաւառս։
番号は下の「逐語分析」「構造図」の番号と対応する。
「そしてようやく、波濤を逃れおおせて、彼らは各地方へ赴く。」
⚠ このページは対話精読による pilot である。 S004 の主要構文はクローズした。3 ապրեալք は形態的には過去分詞 NOM.PL、統語機能としては後続の 7 դնեն と同じ暗黙の複数主語を共有する converbial(副詞的分詞)用法と採用する。4–5 ի ծփանացն は ի + ABL.PL.DEF の離脱・起点句、6–7 արշաւանս դնեն は定型表現、8–9 յիւրաքանչիւր գաւառս は ի/յ + ACC.PL の方向句とする。1–2 ուր ուրեմն は「ようやく/ついに」を採用する。S003 の ուր との反復が談話上どの程度意識されているかは、構文 residual ではなく解釈上の余地として残す。
Ur uremn aprealkʿ i cpʿanacʿn, aršawans dnen yiwrakʿančʿiwr gawaṙs.
| No. | 語形 | Romanize | 品詞・形態 | 意味 |
|---|---|---|---|---|
| 1 | ուր | ur | 副詞/接続的副詞。2 と ուր ուրեմն を形成する可能性を優先するが、前文への場所照応も検討 | ついに/そこで |
| 2 | ուրեմն | uremn | 小辞・接続的副詞。1 と結び ուր ուրեմն | ようやく、ついに;文脈により「かろうじて」 |
| 3 | ապրեալք | aprealkʿ | ապրել / ապրիմ 系の過去分詞・NOM.PL。7 դնեն と同じ暗黙の複数主語を共有する converbial(副詞的分詞)用法を採用 | 生き延びて、逃れおおせて |
| 4 | ի | i | 前置詞。5 と結び起点・離脱を表す | ~から |
| 5 | ծփանացն | cpʿanacʿn | ծփանք「波立ち、うねり、波濤」・複数斜格定形;4 ի の起点用法から ABL.PL.DEF を preferred | 波濤から、うねりから |
| 6 | արշաւանս | aršawans | արշաւան ACC.PL;7 と定型結合 արշաւանս դնել を形成 | 駆行、疾走、行程 |
| 7 | դնեն | dnen | դնեմ・直説法現在3複 | 行う、置く → արշաւանս դնել で「赴く、進む」 |
| 8 | յիւրաքանչիւր | yiwrakʿančʿiwr | յ- = ի;իւրաքանչիւր「各々の、各」。古典期には不変化的用法が強い | 各々の、各 |
| 9 | գաւառս | gawaṙs | գաւառ「地方、州」・ACC.PL を preferred。8 の յ-(ի)とともに移動方向 | 各地方へ |
※ 聖書コーパスでは ապրեալք が 過去分詞・NOM.PL として実際に現れる。とくに使徒28:1 Եւ ապրեալք յայնժամ գիտացաք… は、過去分詞と後続定動詞が同一の複数主語を共有する点で本箇所に近い。
※ ծփանք は辞書で海の「波立ち、うねり、波濤」を表す語として確認される。ապրիմ の辞書用例には「火・剣・死・海から逃れる」という ի + 起点 の結合があり、HMB2018 §156 も ի + ABL を本来の離脱・起点用法として記述するため、ի ծփանացն は ABL.PL.DEF を優先する。
※ GHAZ2012 は ԱՐՇԱՒԱՆՍ ԴՆԵԼ を一項目として立て、「駆ける、疾走する」に相当する意味を与え、本 S004 そのものを直接用例として挙げる。CALFA/NBHL でも արշաւանս դնել は դնեմ / արշաւեմ の定型結合として確認できる。
※ HMB2018 §156 は ի/յ + ACC に移動方向の用法を認め、同じ Agathangelos から ասպատակ դնել ի կողմանս Պարսից, արշաւել ի կողմանս Ասորեստանի を例示する。したがって յիւրաքանչիւր գաւառս は「各地方へ」と読むのが強い。聖書にも յիւրաքանչիւր տեղիս のような「իւրաքանչիւր+複数名詞」の平行例が複数ある。
AGATH.§1.S04
[1–2] ուր ուրեմն
「ようやく/ついに」
│
↓
[3–5] ապրեալք ի ծփանացն
「波濤を逃れおおせて」
PTCP.PAST.NOM.PL
converbial function
│
├─ [4–5] ի + ABL.PL.DEF
│ 「波濤から」
│
└───────────┐
│ shared implicit subject
↓
Øᵢ = 航海者/商人たち
│
↓
[6–7] արշաւանս դնեն
「赴く」
FIN.PRES.3PL
│
└─[8–9] յիւրաքանչիւր գաւառս
ի/յ + ACC.PL
「各地方へ」
構造:
[ուր ուրեմն]
[[Øᵢ ապրեալք ի ծփանացն]CONVERB
[Øᵢ արշաւանս դնեն յիւրաքանչիւր գաւառս]MAIN]
「そしてようやく、波濤を逃れおおせて、
彼らは各地方へ赴く。」
S003 では荒れ狂う波が「山」と「平地」のように上下し、その運動が詩篇103:8の「上って山となり、下って平地となる」という言葉に重ねられた。S004 はその直後、視点を非常に短く切り替える。
3–5 ապրեալք ի ծփանացն は、まず直前まで描かれていた波濤から「逃れおおせる」ことを述べる。CALFA/NBHL の Ապրիմ には「生きる」だけでなく「逃れる、自由になる」の語義があり、火・剣・死・海などから逃れる用例が並ぶため、本箇所でも単なる「生存」より 危険からの脱出 が前面に出る。
その直後の 6–7 արշաւանս դնեն は定型的な運動表現である。語彙的には軍事的「襲撃・遠征」にも展開しうる語だが、ここでは航海者・商人が波から脱した後、9 գաւառս「地方・州」へ向かう文脈なので、「襲撃する」より 各地方へ赴く と中立的に訳すのが適切である。
したがって S004 は、
海上:
ծփանք
「波濤」
↓
ապրեալք
「逃れおおせて」
陸上・交易圏:
արշաւանս դնեն
「赴く」
↓
յիւրաքանչիւր գաւառս
「各地方へ」
という非常に短い転換文になっている。
次文では彼らが自分たちの経験を近しい者たちに「物語る」方向へ進むため、S004 は 海上の危険の描写から、各地を巡る交易者としての活動へ戻す橋として読むことができる。
CALFA/NBHL の ուր 項目は ուր ուրեմն をまとまりとして掲げ、「ついに、最後には」、別義として「かろうじて/ほとんど~ない」に相当する意味を示す。
聖書にもヨブ3:1、
Եւ ապա ուր ուրեմն Յոբ եբաց զբերան իւր...
という平行例があり、ここでは「そしてその後、ついにヨブは口を開き……」という時間・談話的用法が自然である。
S004 でも、激しい波の描写の後に「波濤を逃れおおせる」が続くため、「ようやく/ついに」を preferred とする。
ただし S003 自体も ուր で開始しているため、
S003 ուր ... S004 ուր ուրեմն ...
という反復に場所照応上の修辞的効果が残る可能性はある。初回段階では、成句分析を採用しつつこの点を residual とする。
聖書コーパスでは ապրեալք が過去分詞 NOM.PL として確認できる。HMB2018 §49 も、過去分詞が屈折可能な準動詞であることを明記する。
本箇所では後続の定動詞 7 դնեն が3複で、表面上の主語名詞は置かれていない。したがって、
Øᵢ ապրեալք ... Øᵢ դնեն PTCP.NOM.PL FIN.3PL
と、前文から継続する暗黙の複数主語を両述語が共有すると分析する。
使徒28:1の
Եւ ապրեալք յայնժամ գիտացաք... 「そして逃れおおせて、その時われわれは知った……」
は非常に近い平行例であり、過去分詞が後続定動詞と同じ談話上の主体を共有して、先行する出来事を表している。
したがって本ページでは ապրեալք を、形態としては過去分詞 NOM.PL、統語機能としては converbial(副詞的分詞)と採用する。独立した「converb」という形態カテゴリーを立てるのではなく、屈折する過去分詞が副詞的に機能していると記述する。
意味関係は主節に先行する出来事で、
ապրեալք ի ծփանացն 「波濤を逃れおおせて/波濤を逃れたのち」
となる。「逃れた者たちは」という実体詞化分析は形態上は構成可能だが、本箇所では同一暗黙主語+副詞的分詞の平行例が十分にあり、主要 alternative としては保持しない。
ծփանք は複数形を中心に用いられる名詞で、「波立ち、うねり、波濤」を意味する。ծփանացն は複数斜格定形であり、4 ի と「逃れる」の意味から ABL.PL.DEF を優先する。
HMB2018 §156 は ի/յ が DAT・ACC・ABL と結びうることを区別し、ABL との結合を本来の離脱・起点用法として示す。
したがって、
ապրեալք ի ծփանացն 「波濤から逃れおおせて」
は形態・語義・前置詞支配が一致する。
6 արշաւանս を通常の目的語「遠征を」と逐語的に処理するだけでは、この句の意味を取り逃がす。
GHAZ2012 は、
ԱՐՇԱՒԱՆՍ ԴՆԵԼ
を独立した定型表現として掲げ、本箇所
արշաւանս դնեն յիւրաքանչիւր գաւառս
を直接用例とする。また別文献には海上運動を表す արշաւանս դնելով ի վերայ ծովուն… の用例もある。
したがって本箇所では「襲撃を置く」のような逐語訳ではなく、移動を表す一まとまりの述語として読む。語彙的には「駆ける、疾走する」の勢いを持ちうるが、本文の日本語訳では過剰に軍事的・疾走的な色を付けず「赴く」とする。
յիւրաքանչիւր の յ- は前置詞 ի の異形である。HMB2018 §156 は ի/յ + ACC に移動方向の用法を認め、同じ Agathangelos から、
ասպատակ դնել ի կողմանս Պարսից արշաւել ի կողմանս Ասորեստանի
という非常に近い運動表現を例示する。
9 գաւառս はここでは ACC.PL、「諸地方へ」と取るのが自然である。
իւրաքանչիւր は辞書注では古典期に不変化的用法が強いとされ、聖書にも、
յիւրաքանչիւր տեղիս 「それぞれの場所へ/各所へ」
という複数名詞との平行例が繰り返し現れる。したがって、իւրաքանչիւր が単数的に見えることを理由に գաւառս の複数対格を疑う必要はない。
辞書上まとまりとして確認される。現在の preferred は「ついに/ようやく」。本箇所では直前までの荒波を切り抜けた到達点を示す。
GHAZ2012 が本箇所を直接用例として掲げる定型表現。語彙的には「駆ける、疾走する、勢いよく進む」から軍事的「襲撃・遠征」まで幅を持つが、S004 の訳文では商人・航海者の移動として中立的な 「赴く」 を採用する。
S004 の主要構文 residual はクローズする。
ուր ուրեմն — 辞書成句・ヨブ3:1の平行例から「ようやく/ついに」を採用。ապրեալք — 過去分詞 NOM.PL。後続の 7 դնեն と同じ暗黙の複数主語を共有する converbial(副詞的分詞)用法。ի ծփանացն — ի + ABL.PL.DEF。「波濤から」。արշաւանս դնեն — 定型表現。文脈上の訳は中立的に 「赴く」。յիւրաքանչիւր գաւառս — ի/յ + ACC.PL の方向句。「各地方へ」。採用構造:
[ուր ուրեմն] [[Øᵢ ապրեալք ի ծփանացն]CONVERB [Øᵢ արշաւանս դնեն յիւրաքանչիւր գաւառս]MAIN]
採用訳:
「そしてようやく、波濤を逃れおおせて、 彼らは各地方へ赴く。」
以下は構文未解決項目ではなく、本文読解上の余地としてのみ残す。
ուր で始まることに、場所照応・修辞的反復の効果がどの程度あるかは確定しない。արշաւանս դնել 自体は「駆ける/疾走する」に近い運動感を持ちうるが、日本語訳でその勢いをどこまで表出するかは翻訳上の選択である。本ページでは「赴く」を採用する。
初回精読後の対話により、3 ապրեալք は「副詞的分詞 vs 実体詞的主語」の対等な alternative ではなく、同一の暗黙主語を受ける converbial past participle を採用分析とした。
また 6–7 արշաւանս դնեն は定型表現としての語彙的運動感を認めつつ、本文訳では 「赴く」 を採用した。
これにより S004 の主要構文問題はすべて閉じた。
ի/յ の格支配)、§177(過去分詞と定動詞の主語共有)。ուր, Ապրիմ, Ծփանք, Արշաւան, Դնեմ, Իւրաքանչիւր 各項目。ԱՐՇԱՒԱՆՍ ԴՆԵԼ 項目。ուր ուրեմն)、使徒28:1(ապրեալք+後続定動詞)、第一マカバイ6:54ほか(յիւրաքանչիւր տեղիս)。