1զի 2թէպէտ 3եւ 4զինքեանս 5շարժունս 6տեսանիցեն 7ի 8վերայ 9յաղթ 10ջուրցն 11բազմութեան, 12սասանելոցն 13սարսափելոցն, 14սակայն 15զկարողելն 16առաջի 17ածեալ 18ընդ 19միտ՝ 20ջանան 21դիմագրաւեալք 22ընդ 23խռովութիւն 24ահագին 25ծովուն, 26զի 27թերեւս 28դարձեալք 29աւգտութեամբ 30զգիւտս 31իւրեանց 32խնդութեամբ 33ցուցանիցեն 34առ 35իւրաքանչիւր 36ընտանիս, 37եւ 38զպարծանս 39վաստակոյն՝ 40իւրեանց 41դրացեացն։
番号は下の「逐語分析」「構造図」の番号と対応する。
「というのも、たとえ彼らが、激しく揺れ震える巨大な水塊の上で、自分たち自身も揺れ動いているのを見るとしても、それでも、できるということを念頭に置き、恐るべき海の荒れに敢然と立ち向かって力を尽くすのである。あわよくば利益を得て帰り、自分たちの収益を喜びとともにそれぞれの家族に、また労苦の誇りを自分たちの隣人たちに示すことができるように。」
✓ S002 精読クローズ。 文の主要な形態・統語・語義・談話構造は確定した。冒頭 1 զի は S001 の「波々が死を予兆する」という命題そのものの原因を述べる狭義の原因節ではなく、そのような死の危険を眼前にしながらなお航海者たちが進むという逆説に対する説明・論証を開始する談話標識とする。2–14 は թէպէտ … սակայն … の譲歩枠、15–25 は主節、26–41 は 20 ջանան の目的を表す զի 節である。逐語分析・構造図・本文読解・試訳を変更し得る substantive residual は残っていない。
Zi tʿēpēt ew zinkʿeans šaržuns tesanicʿen i veray yałtʿ ǰurcʿn bazmutʿean, sasanelocʿn sarsapʿelocʿn, sakayn zkaroleln aṙaǰi aceal ənd mit՝ ǰanan dimagrawyealkʿ ənd xṙovutʿiwn ahagin covun, zi tʿerews darjealkʿ awgtutʿeamb zgiwts iwreancʿ xndutʿeamb cʿucʿanicʿen aṙ iwrakʿančʿiwr əntanis, ew zparcans vastakoyn՝ iwreancʿ dracʿeacʿn.
| No. | 語形 | Romanize | 品詞・形態(採用分析) | 意味・機能 |
|---|---|---|---|---|
| 1 | զի | zi | 接続詞・談話標識。前文から生じる説明要求を受ける | というのも;ここでは説明・論証の開始 |
| 2 | թէպէտ | tʿēpēt | 譲歩接続詞 | たとえ~でも、~とはいえ |
| 3 | եւ | ew | 2 と թէպէտ եւ を形成 | ~であっても |
| 4 | զինքեանս | zinkʿeans | 再帰代名詞・ACC.PL;զ- 付き | 自分たち自身を |
| 5 | շարժունս | šaržuns | շարժուն・ADJ.ACC.PL;4 と一致する述語的形容詞 | 揺れ動いている |
| 6 | տեսանիցեն | tesanicʿen | տեսանել・SUBJ.FUT1.3PL | 彼らが見る、目の当たりにする |
| 7 | ի | i | 8 と ի վերայ を形成 | ~の上で |
| 8 | վերայ | veray | 7 と複合前置詞的表現 | 上、上方 |
| 9 | յաղթ | yałtʿ | 形容詞;10を前置修飾。不変化的前置用法 | 強大な、大いなる |
| 10 | ջուրցն | ǰurcʿn | ջուր・GEN.PL.DEF;11の内容属格、12–13の一致先 | 水々の、水の |
| 11 | բազմութեան | bazmutʿean | բազմութիւն・GEN.SG;7–8の属格補部の中心 | 大群、大量、水塊 |
| 12 | սասանելոցն | sasanelocʿn | սասանեալ・PTCP.PAST.GEN.PL.DEF;10を後置修飾 | 揺れている、揺れ動く |
| 13 | սարսափելոցն | sarsapʿelocʿn | սարսափեալ・PTCP.PAST.GEN.PL.DEF;10を後置修飾 | 震え、戦慄している |
| 14 | սակայն | sakayn | 譲歩主節を導く接続詞 | しかし、それでも |
| 15 | զկարողելն | zkaroleln | 名詞化不定詞・ACC.SG.DEF;17の目的語 | できるということを |
| 16 | առաջի | aṙaǰi | 副詞/前置詞的要素;առաջի ածել を形成 | 前に、眼前に、念頭に |
| 17 | ածեալ | aceal | ածեմ・PTCP.PAST;15を目的語に取り16・18–19と一体の思考表現 | 持ち出して、念頭に置いて |
| 18 | ընդ | ənd | 19 と ընդ միտ ածել を形成 | 心に、思考に |
| 19 | միտ | mit | միտ・ACC.SG;18の補部 | 心、思考、念頭 |
| 20 | ջանան | ǰanan | ջանամ・PRES.IND.3PL | 力を尽くす、努める |
| 21 | դիմագրաւեալք | dimagrawyealkʿ | դիմագրաւեմ / դիմագրաւիմ 系・PTCP.PAST.NOM.PL;20と同一主語を共有する付加的分詞 | 敢然と身をさらし、立ち向かって |
| 22 | ընդ | ənd | 前置詞;23をACC.SGで支配 | ~に対して、~に向かって |
| 23 | խռովութիւն | xṙovutʿiwn | խռովութիւն・ACC.SG;22の補部 | 荒れ、激動、波立ち |
| 24 | ահագին | ahagin | 形容詞・ACC.SG;23を修飾 | 恐るべき、巨大な |
| 25 | ծովուն | covun | ծով・GEN.SG.DEF;23を属格限定 | 海の |
| 26 | զի | zi | 接続詞;20の行為の目的を導く | ~するために、~できるように |
| 27 | թերեւս | tʿerews | 副詞;目的を期待・可能性として弱める | あわよくば、ひょっとすれば |
| 28 | դարձեալք | darjealkʿ | 過去分詞・NOM.PL;33と同一主語を共有 | 帰って、帰還して |
| 29 | աւգտութեամբ | awgtutʿeamb | աւգտութիւն / օգտութիւն・INSTR.SG | 利益を伴って、利益を得て |
| 30 | զգիւտս | zgiwts | գիւտ・ACC.PL;33の第一目的語 | 収益を、得た利益を |
| 31 | իւրեանց | iwreancʿ | 再帰所有代名詞・GEN.PL;30を限定 | 自分たちの |
| 32 | խնդութեամբ | xndutʿeamb | խնդութիւն・INSTR.SG;33を様態修飾 | 喜びをもって |
| 33 | ցուցանիցեն | cʿucʿanicʿen | ցուցանել・SUBJ.FUT1.3PL | 彼らが示す、見せる |
| 34 | առ | aṙ | 前置詞;36をACC.PLで支配し受け手を示す | ~へ、~に |
| 35 | իւրաքանչիւր | iwrakʿančʿiwr | 分配的形容詞/代名詞的要素;不変化的に36を限定 | それぞれの |
| 36 | ընտանիս | əntanis | ընտանի 系・ACC.PL;34の補部 | 家族、家の者たち |
| 37 | եւ | ew | 接続詞;第二の目的語+受け手を並列 | そして、また |
| 38 | զպարծանս | zparcans | պարծանք 系・ACC.PL;33の第二目的語 | 誇りを、誇るべきものを |
| 39 | վաստակոյն | vastakoyn | վաստակ・GEN.SG.DEF;38を限定 | 労苦の、働きの |
| 40 | իւրեանց | iwreancʿ | 再帰所有代名詞・GEN.PL;41を限定 | 自分たちの |
| 41 | դրացեացն | dracʿeacʿn | դրացի・DAT.PL.DEF;33の第二の受け手 | 隣人たちに |
AGATH.§2.S002
status: closed reading
════════ A. 談話接続+譲歩節 ════════════════════════
[1] զի
CONJ / explanatory-argumentative discourse connector
「というのも」
│
└─ S001 の「死を予兆する」という危険描写から生じる
「それでもなぜ進むのか」という説明要求を受ける
↓
[2–3] թէպէտ եւ
concessive connector
「たとえ~でも」
│
└─ clause
↓
Øᵢ = 航海者たち
│
└─ [6] տեսանիցեն
SUBJ.FUT1.3PL
「目の当たりにするとしても」
│
├─ OBJ + predicative adjective
│ [4] զինքեանս
│ ACC.PL
│ 「自分たち自身を」
│
│ [5] շարժունս
│ ADJ.ACC.PL
│ 「揺れ動いている」
│
└─ LOCATIVE
[7–8] ի վերայ
「~の上で」
│
└─ GEN complement
[11] բազմութեան
GEN.SG / HEAD
「大群・大量/水塊」
│
└─ content GEN
[10] ջուրցն
GEN.PL.DEF
「水々の」
│
├─ [9] յաղթ
│ preposed invariant ADJ
│ 「強大な」
│
├─ [12] սասանելոցն
│ PTCP.PAST.GEN.PL.DEF
│ 「揺れている」
│
└─ [13] սարսափելոցն
PTCP.PAST.GEN.PL.DEF
「震えわななく」
全体:
「激しく揺れ震える巨大な水塊の上で、
自分たち自身も揺れ動いているのを見るとしても」
════════ B. սակայն 以下の主節 ════════════════════════
[14] սակայն
「しかし、それでも」
│
↓
Øᵢ = 航海者たち
│
├─ [15–19] զկարողելն առաջի ածեալ ընդ միտ
│
│ [15] զկարողելն
│ nominalized INF.ACC.SG.DEF
│ 「できるということを」
│ │
│ └─ OBJ of [17] ածեալ
│
│ [16–19] առաջի ածեալ ընդ միտ
│ 「心の前に持ち出して」
│ →「念頭に置いて」
│
└─ [20] ջանան
PRES.IND.3PL
「力を尽くす/努める」
│
└─ same-subject supplementary participle
[21] դիմագրաւեալք
PTCP.PAST.NOM.PL
lemma: դիմագրաւեմ / դիմագրաւիմ
「敢然と身をさらし、立ち向かって」
│
└─ [22–25] ընդ խռովութիւն ահագին ծովուն
[22] ընդ + ACC
[23] խռովութիւն ACC.SG
[24] ահագին ADJ.ACC.SG
[25] ծովուն GEN.SG.DEF
「恐るべき海の荒れに」
════════ C. 目的節 — զի թերեւս ... ցուցանիցեն ════════
[26] զի
purpose connector
「~するために/~できるように」
│
└─ [27] թերեւս
「あわよくば/ひょっとすれば」
│
↓
Øᵢ = 航海者たち
│
├─ [28] դարձեալք
│ PTCP.PAST.NOM.PL
│ same subject as [33]
│ 「帰還して」
│
├─ [29] աւգտութեամբ
│ INSTR.SG
│ 「利益を得て」
│
└─ [33] ցուցանիցեն
SUBJ.FUT1.3PL
「示すことができるように」
│
├─ MANNER
│ [32] խնդութեամբ
│ INSTR.SG
│ 「喜びをもって」
│
├─ pair 1
│ OBJ [30–31] զգիւտս իւրեանց
│ 「自分たちの収益を」
│
│ RECIPIENT [34–36]
│ առ իւրաքանչիւր ընտանիս
│ առ + ACC.PL
│ 「それぞれの家族に」
│
└─ pair 2
OBJ [38–39] զպարծանս վաստակոյն
「労苦の誇りを」
RECIPIENT [40–41] իւրեանց դրացեացն
DAT.PL.DEF
「自分たちの隣人たちに」
════════ D. 文全体 ═══════════════════════════════════
[1] զի
「というのも」
↓
[2–13]
「たとえ、激しく揺れ震える巨大な水塊の上で、
自分たち自身も揺れ動いているのを見るとしても」
↓
[14] սակայն
「それでも」
↓
[15–25]
「できるということを念頭に置き、
恐るべき海の荒れに敢然と立ち向かって力を尽くす」
↓
[26–41] PURPOSE
「あわよくば利益を得て帰り、
自分たちの収益を家族に、
労苦の誇りを隣人たちに示すことができるように」
この構造図は、形態・統語・意味・談話機能の採用分析を一体化したクローズ時の図である。
S001 では、波そのものが満ち上がり、窪みこみ、轟音を立て、「死を予兆する」ものとして描かれた。S002 はそこから航海者たちへ視点を戻し、そのような危険を目の当たりにしながらも、なぜ彼らが退かず航海を続けるのかを説明する。
冒頭 1 զի は、この談話転換に関わる。狭く、
「波が死を予兆する。 なぜなら航海者が努力するから」
という因果関係を作るのではない。むしろ S001 の強い危険描写が生む、
「死が目前にある。 それでも、なぜ彼らは進むのか。」
という説明要求を受け、後続の թէպէտ … սակայն … によって答えを展開する談話標識と読む。
この読みには §1 S007 の作者内平行例が重要である。そこでも文頭に、
զի թէպէտ եւ տեսանիցեն ...
が現れ、直前文で述べられた「彼らは自分自身を引き換えに差し出す」という危険な行為から生じる説明要求を受けて、譲歩構文による説明を開始する。S002 はこの修辞的運用をほぼそのまま再現している。
譲歩節では、
զինքեանս շարժունս
「自分たち自身が揺れ動いている」
⇅
ջուրցն ... սասանելոցն սարսափելոցն
「揺れ、震える水々」
が呼応する。
12–13 սասանելոցն սարսափելոցն は、初見では S001 ըմբռնելոցն と同じく未来分詞との同形衝突を疑う必要がある。しかし HMB/BAG の曲用規則、Agathangelos §267 の ալեացն խռովելոց յուզելոցն … կուտակելոցն、CALFA/NBHL が本箇所を Սասանիմ・Սարսափեմ / Սարսափիմ に引くことから、10 ջուրցն を修飾する過去分詞複数斜格形を採用する。
9–11 は、
[յաղթ ջուրցն] բազմութեան 「強大な水々の大群」
と読む。CALFA Յաղթ 項には Խռովեցան յաղթ ջուրք という直接例があり、Agathangelos 自身にも յաղթ մարմնով など前置 յաղթ の不変化用法がある。10–11 ջուրցն բազմութեան は §176 մարդկան բազմութեան と同型の GEN.PL + բազմութիւն 構造である。
15–19、
զկարողելն առաջի ածեալ ընդ միտ
は 「できるということを念頭に置いて」 と読む。
15 զկարողելն は抽象名詞「能力」ではなく、対格定形の名詞化不定詞で命題内容「できるということ」を表す。CALFA の ի մտի եդեալ զոչ կարողելն「できないということを心に置いて」が直接的な平行例となる。
何を「できる」のかは明示されない。危難を切り抜けること、航海目的を達成すること、利益を得て帰還することを広く包むものとし、「海に勝つ」など一義的な補語は補わない。
20–25 では、20 ջանան「力を尽くす」が主定動詞、21 դիմագրաւեալք は同じ航海者たちを主語とする PTCP.PAST.NOM.PL である。
CALFA/NBHL は դիմագրաւեալք を Դիմագրաւեմ と Դիմագրաւիմ の双方に収録するため、lemma は両形を併記する。ただし意味上は受動「対抗された」ではなく、自動・中動的な「自ら危険に身をさらす、敢えて向かう」が明確である。
22–25、
ընդ խռովութիւն ահագին ծովուն
は ընդ + ACC。23 խռովութիւն は海・波の文脈で「騒擾」と抽象化するより、「荒れ、激動」と読む。したがって全体を、
「恐るべき海の荒れに敢然と立ち向かって力を尽くす」
とする。
26 զի は、ここでは20 ջանան の意志的行為を受ける目的節を導く。HMB2018 §189 の目的従属節に合う。27 թերեւս がこれを「必ずそうなる」目的ではなく、「あわよくば/ひょっとすれば」という期待として弱める。
28 դարձեալք は33 ցուցանիցեն と同一主語を共有する PTCP.PAST.NOM.PL。29 աւգտութեամբ は、後続する §2–§3 の貧困・負債・利益の文脈から「有益さ」より 「利益を得て」と読む。
33 ցուցանիցեն は SUBJ.FUT1.3PL で、「示すことができるように」。その目的語と受け手が二組並ぶ。
[զգիւտս իւրեանց]
「自分たちの収益を」
↓
[առ իւրաքանչիւր ընտանիս]
「それぞれの家族に」
եւ
[զպարծանս վաստակոյն]
「労苦の誇りを」
↓
[իւրեանց դրացեացն]
「自分たちの隣人たちに」
30 գիւտ は「発見」だけでなく profit / gain を持ち、Agathangelos の文脈でも利益語彙と結びつくため 「収益」を採用する。39 վաստակ は「労苦」と「利益」の双方を持つが、前半ですでに աւգտութիւն / գիւտ が実利を表すため、38–39 は 「労苦の誇り」とし、
家族には 収益という実利、
隣人には 労苦の誇りという社会的価値
を示すという対照を読む。
HMB2018 §189 は զի が原因節を導きうることを認め、その場合は主節行為の原因を表し、通常後置すると記述する。
本箇所の զի は文頭に立ち、その直後に完結した թէպէտ … սակայն … 譲歩構文全体を導く。また §1 S007 に同じ զի թէպէտ … 型があり、そこでも先行文脈から生じる説明要求を受ける。
したがって本箇所では、狭義の原因従属節として S001 の գուշակեն「予兆する」に直接係らせず、先行談話を受けて説明・論証を開始する discourse-level connector とする。
HMB2018 §114, §118 の活用表により、e 活用の不完了語幹から作る SUBJ.FUT1.3PL と確定する。
տեսան- + -իցեն → տեսանիցեն ցուցան- + -իցեն → ցուցանիցեն
具体的なモダリティは接続環境によって決まる。
թէպէտ ... տեսանիցեն 「たとえ……を見るとしても」 զի ... ցուցանիցեն 「……を示すことができるように」
10–11 は ջուրցն GEN.PL.DEF が 11 բազմութեան GEN.SG を内容属格で限定する。
9 յաղթ は10を前置修飾する。CALFA Յաղթ 項の Խռովեցան յաղթ ջուրք、Agathangelos 自身の յաղթ մարմնով が、不変化的な前置修飾を支持する。
12–13 は、
սասանեալ → սասանելոցն սարսափեալ → սարսափելոցն
という過去分詞の複数属格定形。10 ջուրցն と数・格を一致させた後置修飾語として採用する。未来分詞説は形態上検討済みだが、active alternative には残さない。
զ- + կարողել + -ն ACC + nominalized infinitive + DEF
不定詞は動詞名詞として単数曲用し、対格目的語となりうる。CALFA の、
ի մտի եդեալ զոչ կարողելն 「できないということを心に置いて」
が本箇所に近い。
GHAZ2012 は、
ԱՌԱՋԻ ԱԾԵԼ 「眼前・念頭に持ってくる、考える」 ԱԾԵԼ ԸՆԴ ՄԻՏ 「考える、心に思い浮かべる」
をそれぞれ立項する。本箇所では両表現が重なり、「できるということを心の前へ持ち出して」→ 「できるということを念頭に置いて」となる。
20 ջանան は PRES.IND.3PL。21 դիմագրաւեալք は PTCP.PAST.NOM.PL で、同じ複数主語を共有する。HMB2018 §177 の同一主語をもつ過去分詞+定動詞の構文に合う。
ջանամ が「~しようと努める」の補語を取る場合は不定詞が普通であるため、21を20の不定詞補語とみる必要はない。
22 ընդ は23を ACC.SG で支配する。23 խռովութիւն は NOM/ACC.SG 同形だが、ここでは前置詞支配により ACC.SG。24 ահագին も ACC.SG、25 ծովուն は GEN.SG.DEF。
HMB2018 §189 は目的節が զի / որպէս զի / վասն զի で導かれうることを記述する。本箇所は、
ջանան ... └─ զի ... ցուցանիցեն
という意志的主節+後置目的節である。
ցուցանեմ は辞書例で、
ցոյց մեզ զողորմութիւնս 「われわれに慈しみを示せ」 ցուցանել նոցա զխորհուրդն 「彼らに計画を示す」
のように「示す物=ACC、相手=DAT」を取る。
本箇所では第一の受け手が առ + ACC.PL、第二が裸の DAT.PL.DEF で表現される。
OBJ զգիւտս իւրեանց REC առ իւրաքանչիւր ընտանիս OBJ զպարծանս վաստակոյն REC իւրեանց դրացեացն
という二項並列を採用する。
「眼前・念頭に置く、考える」。本箇所では両者が重なって強い思考表現を作る。
「自ら危険に身をさらす、敢えて向かう」。本箇所では海の荒れを対象に取り、「敢然と立ち向かう」と訳す。
ցուցանեմ は示す内容を対格、受け手を与格等で表す。本箇所の二組の平行構造を支える。
AGATH.§2.S002.REVIEW.001 — 12–13 ''սասանելոցն սարսափելոցն'' — CLOSED
採用
[10] ջուրցն
GEN.PL.DEF
├─ [12] սասանելոցն
│ PTCP.PAST.GEN.PL.DEF
│ 「揺れている」
└─ [13] սարսափելոցն
PTCP.PAST.GEN.PL.DEF
「震えわななく」
未来分詞説は形態上検討したが、HMB/BAG の曲用規則、同作者 §267、CALFA/NBHL の lemma routing、意味適合のすべてで過去分詞説が優勢。active alternative には残さない。
AGATH.§2.S002.REVIEW.002 — 9–11 ''յաղթ ջուրցն բազմութեան'' — CLOSED
採用
[11] բազմութեան
GEN.SG / HEAD
「大群・大量」
│
└─ [10] ջուրցն
GEN.PL.DEF
「水々の」
│
└─ [9] յաղթ
preposed invariant ADJ
「強大な」
全体で「強大な水々の大群」。自然な訳では「巨大な水塊」。
AGATH.§2.S002.REVIEW.003 — 15–19 ''զկարողելն առաջի ածեալ ընդ միտ'' — CLOSED
採用
[15] զկարողելն
nominalized INF.ACC.SG.DEF
「できるということを」
│
└─ [17] ածեալ
with առաջի + ընդ միտ
「念頭に置いて」
何を「できる」のかは明示されないため、一義的な補語を補わない。
AGATH.§2.S002.REVIEW.004 — 20–25 ''ջանան դիմագրաւեալք ընդ խռովութիւն ահագին ծովուն'' — CLOSED
採用
[20] ջանան
PRES.IND.3PL
「力を尽くす」
│
└─ same-subject supplementary PTCP
[21] դիմագրաւեալք
PTCP.PAST.NOM.PL
lemma: դիմագրաւեմ / դիմագրաւիմ
「敢然と立ち向かって」
│
└─ [22–25]
ընդ խռովութիւն ահագին ծովուն
「恐るべき海の荒れに」
դիմագրաւեալք は辞書上 դիմագրաւեմ / դիմագրաւիմ の二重 routing があるが、これは語彙見出し上の注記であり、統語・訳を揺らさない。意味は受動ではなく「自ら危険に身をさらし、敢えて向かう」。
AGATH.§2.S002.REVIEW.005 — 26–41 ''զի թերեւս ... ցուցանիցեն'' — CLOSED
採用
26 զի は目的節。27 թերեւս が期待・可能性を加える。28 դարձեալք は33と同一主語を共有する PTCP.PAST.NOM.PL。33 ցուցանիցեն は SUBJ.FUT1.3PL。
二組の平行構造:
զգիւտս իւրեանց
「自分たちの収益を」
→ առ իւրաքանչիւր ընտանիս
「それぞれの家族に」
եւ
զպարծանս վաստակոյն
「労苦の誇りを」
→ իւրեանց դրացեացն
「自分たちの隣人たちに」
30 գիւտ は本箇所では「収益」、38–39 は「労苦の誇り」を採用する。
AGATH.§2.S002.REVIEW.006 — 冒頭 1 ''զի'' の談話機能 — CLOSED
採用
1 զի は、S001 の զաւրհասն գուշակեն「死を予兆する」の直接的な原因節を作るのではない。
S001 の危険描写から生じる、
「死を眼前にしながら、それでもなぜ彼らは進むのか」
という説明要求を受け、թէպէտ … սակայն … による説明・論証を開始する 談話レベルの explanatory / argumentative connector とする。
§1 S007 の同じ զի թէպէտ … 型が作者内平行例である。
試訳では過度に説明を補わず「というのも」を保持し、この談話的射程は本文読解で明示する。
S002 に、逐語分析・構造図・本文読解・試訳を変更し得る substantive residual は残っていない。以下は説明上の細部のみである。
դիմագրաւեալք — CALFA/NBHL が Դիմագրաւեմ と Դիմագրաւիմ の双方に実例を収録するため lemma は併記する。意味・統語判断には影響しない。ընտանիս — 日本語では「家族」を採用するが、語彙的には「家の者たち/身内」まで含みうる。զի — 日本語試訳では「というのも」を採用するが、これは狭い原因関係を訳し分けるものではなく、談話標識としての射程は本文読解に委ねる。
S002 はクローズ。 採用本文・逐語分析・構造図・本文読解・試訳を変更し得る未決点は残っていない。今後再検討するとすれば、դիմագրաւեալք の辞書 lemma の正規化、ընտանիս の日本語語感、冒頭 զի の訳語選択など、採用構造を動かさない細部に限る。
յաղթ մարմնով の用例。առ の格支配;§158 — ընդ の格支配;§177 — 同一主語の過去分詞+定動詞;§189 — 目的節・原因節等。-եալ 過去分詞の斜格・-ելոց 型;不定詞・省略等の関連記述。թէպէտ / թէ եւ 系譲歩構文の関連記述。Սասանիմ, Սասանեմ, Սարսափեմ, Սարսափիմ, Յաղթ, Բազմութիւն, Կարող, Առաջի, Միտ, Դիմագրաւ, Խռովութիւն, Գիւտ, Վաստակ, Ցուցանեմ, Իւրաքանչիւր 等;ի մտի եդեալ զոչ կարողելն の平行例。ԱԾԵԼ ԸՆԴ ՄԻՏ, ԱՌԱՋԻ ԱԾԵԼ。