1այլ 2շահս 3աւգտութեան 4վաճառացն 5երկայն 6ճանապարհաւքն 7անձանց 8եւ 9եթ 10կամին 11մատուցանել։
「しかし彼らは、商いから得られる有益な利得を、長い旅路を経て、自分たち自身にだけもたらそうと望む。」
読者向け は文全体の対照を自然な日本語にしたもの。文法上の焦点辞 [8–9] の局所 作用域 はあくまで [7] անձանց「自分たち自身に」に置く。
ayl šahs awgtutʿean vačaṙacʿn erkayn čanaparhawkʿn anjancʿ ew etʿ kamin matucʿanel.
| No. | 語形 | 品詞・形態(採用分析) | 意味・機能 |
|---|---|---|---|
| 1 | այլ | 対照接続 | S003 に対し「しかし/ところが」 |
| 2 | շահս | շահ 対格複数 第一分析 | 11 の目的語 中心語。「利益・利得」 |
| 3 | աւգտութեան | օգտութիւն 属格単数 | 2 を collocational に限定。「有益性・利益の」 |
| 4 | վաճառացն | վաճառ 属格複数・定 第一分析 | 2–3 の source/domain。「商い・取引の」 |
| 5 | երկայն | 前置形容詞、無変化 | 6 を限定。「長い」 |
| 6 | ճանապարհաւքն | 具格複数・定 | 11 の経路・手段。「長い旅路を経て」 |
| 7 | անձանց | անձն 与格複数 第一分析 | 11 の受取手・受益者。「自分たち自身に」 |
| 8 | եւ | 9 と一体の後置焦点辞を形成 | frozen surface は独立 token のまま保持 |
| 9 | եթ | 8 と機能的に եւեթ 相当 | 直前 [7] を局所的に限定。「~だけに/~にこそ」 |
| 10 | կամին | Կամիմ 直説法現在・3人称複数 | 定動詞。「望む、進んで~しようとする」 |
| 11 | մատուցանել | Մատուցանեմ 不定詞 | 10 の補部。「もたらす、差し出す」 |
AGATH.§6.S04
[1] այլ
“しかし/ところが”
↓ contrast with S003
省略主語(3人称複数) generic commercial actors / merchants
└─ 定動詞 [10] կամին
“彼らは望む/進んで~しようとする”
└─ 不定詞 [11] մատուցանել
“もたらす”
├─ 対象 [2–4]
│ շահս աւգտութեան վաճառացն
│ “商いから得られる利益・利得を”
├─ 経路/手段 [5–6]
│ երկայն ճանապարհաւքն
│ “長い旅路を経て”
└─ 受取手 [7]
անձանց
“自分たち自身に”
└─ LOCAL FOCUS [8–9] եւ եթ
functional ≈ եւեթ
“自分たち自身にだけ/こそ”
sentence 中心状態 = RESOLVED_HEAD;文の中心 = [10] կամին。
「ところが、自分たちだけの利益となる商いのためなら、彼らは長い道のりを経ることも厭わないのである。」
上の「試訳」は原文の語順・構造との対応を優先した訳である。ここでは、一部の意訳や語順調整を許し、日本語としての流れと読みやすさを優先した自然化訳を示す。
S003 は、海の深淵の奥底を敢えて究めようとするほどの者が「いったい誰にいるのか」と修辞的に問う。
S004 は冒頭の այլ「しかし」で、これに明瞭な対照を置く。
S003
深淵を究めるほどの困難な営み
↓
誰が敢えてしようとするのか
↓
しかし
↓
S004
商いによる利益
↓
長い旅路を経ても
↓
自分たち自身にだけ
↓
人々は進んでもたらそうとする
ここで著者が対照しているのは、単なる「知的作業」と「商業活動」ではない。自分自身の利益になる営みなら、人は長い労苦を伴っても自発的に行うのに、知恵・歴史の深い海へ踏み込む仕事は、外からの命令と強制なしには引き受けない、という対照である。
この意味で [7–9] անձանց եւ եթ が文の修辞的焦点になる。焦点は「長い旅路にさえ」ではなく、文法的にはまず 「自分たち自身にだけ」 に置かれる。
S005 はこの一般的対照を著者自身へ戻し、ոչ յանդգնութեամբ「大胆さからではなく」、ակամայ「意に反して」、ըստ հրամանացն「命令に従って」と明示する。
2 շահս は 対格複数 の 中心語。「利益、利得、益」。CALFA Շահ は profit / gain / advantage を挙げ、さらに շահ օգտի / շահ օգտութեան を「utility / advantage」に相当する結合として明示する。
4 վաճառացն は 属格複数・定 で、「商い・取引・商品」の領域/源を示す。
したがって全体は、直訳調には「商いの有益な利得」、自然には 「商いから得られる利益」。
3 と4 の属格が2へそれぞれ直接かかるか、[2–3] の collocational unit に4がかかるかは局所的に残るが、意味はほぼ変わらない。
6 ճանապարհաւքն は 具格複数・定。「道・旅路によって/を経て」。
HMB2018 §178 は、前置された多音節の形容詞的限定語は曲用しないと明記する。したがって5 երկայն が無変化のまま具格複数6を限定するのは正規。
7 անձանց は 属格複数/与格複数/奪格複数 同形だが、ここでは 与格複数。
HMB2018 §157 は「提示・授与の与格」を明示し、CALFA Մատուցանեմ にも Մատուցին նմա զընծայսն「彼に贈り物を差し出した」のような 与格 recipient + 対格 theme がある。
したがって、
շահս 対格複数 theme անձանց 与格複数 recipient մատուցանել bring/present
とする。
この文の最大の注意点。
frozen text は եւ եթ と二語に分かれている。これを本文上で一語へ正規化しない。
しかし機能的には HMB2018 §171 の後置詞的 modal/shading word եւեթ に対応する。ABR1976 §376 の局所焦点用例には անձին եւեթ があり、CALFA Անձն にも վասն անձին եւեթ = “for oneself alone” がある。
同じ frozen Agathangelos でも զմարմին եւ եթ կարող են չարչարել、Այսչափ եւ եթ գիտել など、二語表記で直前成分へ局所的にかかる用例が確認できる。
したがって本箇所は、
անձանց եւ եթ ≈ անձանց եւեթ “to themselves alone”
と分析する。
「եւ=そして、եթ=もし」ではない。
10 կամին は Կամիմ 直説法現在・3人称複数。「彼らは望む/~しようとする」。
CALFA には Կամիմք նշան ինչ տեսանել「われわれは何かしるしを見たい」のような不定詞補部の用例がある。
11 մատուցանել がその不定詞補部で、2–4を theme、7を recipient とする。
* շահ օգտութեան — 辞書で確認される「利益・有益性」の結合。
* HMB2018 §171 — 後置 իսկ, եւեթ の modal/shading function。