1Սոյն 2աւրինակ 3եւ 4մեք 5ոչ 6յանդգնութեամբ 7տղայաբար 8բարուք 9ինչ 10ի 11ներքս 12անկանել 13անմտաբար 14հոսեցաք, 15այլ 16ակամայ 17ընթացեալ 18ըստ 19հրամանացն 20ի 21բռնութենէ 22հարկապահանջ 23իշխանացն՝ 24դիմեալ 25նաւեցաք 26ի 27մատենայած 28ծովուս 29պատմութեան։
「同じように私たちも、向こう見ずな大胆さや、子供じみた何らかの自発的な気質から、愚かにも中へ飛び込もうと突進したのではない。むしろ、意に反して進み、命令に従い、要求を取り立てる権威者たちの強制によって、そこへ向かい、この書物に浸された歴史の海を航海したのである。」
前半 [6–9] の内部係りには小幅な不確定性があるため、日本語では「向こう見ずさ」「子供じみた」「自発的な気質」を累積的な動機・様態として表し、一語一語を不自然に階層化しない。
Soin awrinak ew mekʿ očʿ yandgnutʿeamb tġayabar barukʿ inčʿ i nerks ankanel anmtabar hosecʿakʿ, ayl akamay əntʿacʿeal əst hramanacʿn i bṙnutʿenē harkapahanǰ išxanacʿn՝ dimeal nawecʿakʿ i matenayac covus patmutʿean.
| No. | 語形 | 品詞・形態(採用分析) | 意味・機能 |
|---|---|---|---|
| 1 | Սոյն | 指示語 | 2 と Սոյն աւրինակ。「同じこの」 |
| 2 | աւրինակ | 名詞 主格単数/対格単数 surface;談話副詞的 | 「例・仕方」→「同じように」 |
| 3 | եւ | 添加焦点 | 4 にかかり「~も」 |
| 4 | մեք | 1PL pronoun 主格 | 二つの定動詞述語の明示主語。「私たちも」 |
| 5 | ոչ | 否定辞 | [6–14] の否定側に 作用域 |
| 6 | յանդգնութեամբ | յանդգնութիւն 具格単数 | 様態・動機。「向こう見ずな大胆さで」 |
| 7 | տղայաբար | 副詞 | 「子供のように、子供じみて」 |
| 8 | բարուք | բարք 具格複数 | 性向・態度。文脈上「自発的に/自分から進んで」の含み |
| 9 | ինչ | 不定要素 | 8 を後置修飾。「何らかの」 |
| 10 | ի | 11 と ի ներքս | inward expression |
| 11 | ներքս | 副詞的 | 「内へ、奥へ」 |
| 12 | անկանել | 不定詞 | 14 に付随する目的・事態。「落ちる/飛び込む」 |
| 13 | անմտաբար | 副詞 | 「愚かにも、無分別に」 |
| 14 | հոսեցաք | 直説法アオリスト・1人称複数 | 否定側の定動詞。「突進した/流れ込んだ」 |
| 15 | այլ | 対照接続 | ոչ … այլ …「~ではなく、むしろ」 |
| 16 | ակամայ | 副詞 | 「意に反して、しぶしぶ、強いられて」 |
| 17 | ընթացեալ | Ընթանամ 過去分詞 | 4 と主語共有。「進み/赴き」 |
| 18 | ըստ | 前置詞 | 19 与格 を支配 |
| 19 | հրամանացն | հրաման 与格複数・定 第一分析 | 「命令に従って」 |
| 20 | ի | 前置詞 | 21 奪格 を支配 |
| 21 | բռնութենէ | բռնութիւն 奪格単数 | 「強制から/強制によって」 |
| 22 | հարկապահանջ | 前置無変化修飾語 | 23 を限定。「要求を取り立てる/徴収を迫る」 |
| 23 | իշխանացն | իշխան 属格複数・定 第一分析 | 21 を限定。「権威者たちの」 |
| 24 | դիմեալ | Դիմեմ 過去分詞 第一分析 | 4 と主語共有。「向かい/そこを目指し」 |
| 25 | նաւեցաք | Նաւեմ 直説法アオリスト・1人称複数 | 肯定側の定動詞。「私たちは航海した」 |
| 26 | ի | 前置詞 | 28 与格 を場所・領域として支配 |
| 27 | մատենայած | 形容詞、前置無変化 | 28 を限定。「書物に浸された/書物に満ちた」 |
| 28 | ծովուս | ծով 与格単数 第一分析 | 26 の支配項。「この海に/海の中で」 |
| 29 | պատմութեան | պատմութիւն 属格単数 | 28 を限定。「歴史の」 |
AGATH.§6.S05
DISCOURSE FRAME
[1–2] Սոյն աւրինակ
“同じように”
└─ ADDITIVE [3–4] եւ մեք
“私たちも”
NEGATIVE ARM
[5] ոչ
└─ 定動詞 [14] հոսեցաք
“突進したのではない”
├─ 様態/MOTIVATION [6–9]
│ յանդգնութեամբ / տղայաբար / բարուք ինչ
│ “向こう見ずさ・子供じみた自発的気質から”
├─ EVENT/PURPOSE [10–12]
│ ի ներքս անկանել
│ “中へ飛び込もうとして”
└─ 様態 [13] անմտաբար
“愚かにも”
CONTRAST [15] այլ
“むしろ”
POSITIVE ARM
[16] ակամայ
“意に反して”
[17] ընթացեալ 過去分詞
“進み”
├─ [18–19] ըստ հրամանացն
│ “命令に従い”
└─ [20–23] ի բռնութենէ հարկապահանջ իշխանացն
“要求を突きつける権威者たちの強制によって”
[24] դիմեալ 過去分詞
“そこへ向かい”
└─ 定動詞 [25] նաւեցաք
“私たちは航海した”
└─ 領域 [26–29]
ի մատենայած ծովուս պատմութեան
“この書物に満ちた歴史の海に/海へ”
sentence 中心状態 = DISTRIBUTED / CONTRASTIVE;定動詞中心 = [14], [25]。
「同じように私たちも、子供じみた向こう見ずさや、自分から進んでそうしようという気から、愚かにもこの海へ飛び込んだのではない。むしろ意に反して、命令に従い、要求を突きつける権威者たちに強いられて進み、そこへ向かって、この書物に満ちた『歴史の海』へ船出したのである。」
上の「試訳」は原文の語順・構造との対応を優先した訳である。ここでは、一部の意訳や語順調整を許し、日本語としての流れと読みやすさを優先した自然化訳を示す。
S005 は §6 の議論を著者自身へ戻して閉じる文である。冒頭 Սոյն աւրինակ եւ մեք「同じように、私たちも」 は、S001 の Սոյն աւրինակ をほぼ明示的に回収する。
中心は ոչ … այլ … の対照。
NOT
子供じみた大胆さ
自分から進んでそうしようという気
愚かな突進
↓
BUT
ակամայ “意に反して”
ըստ հրամանացն “命令に従って”
ի բռնութենէ ... իշխանացն
“権威者たちの強制によって”
↓
նաւեցաք
“私たちは航海した”
これによって S004 との対照が完成する。S004 では、自分自身の利益になる商いなら人は長い旅路をも進んで引き受ける。S005 では著者たちは、自分たちの歴史叙述はそのような自発的利益追求ではなく、命令と強制によって引き受けたものだと述べる。
終端では S001 の իմաստութեան ծով「知恵の海」が、ծովուս պատմութեան「歴史の海」へ具体化される。27 մատենայած がさらに書物・文献のイメージを重ねるため、海洋譬喩と執筆行為がここで完全に接続する。
1–2 は S001 と同じ類比導入 formula。「同じように」。3 եւ は4 մեք に局所的にかかり、「私たちも」と著者を前の一般論へ加える。
14 と25 はともに 直説法アオリスト・1人称複数。前者が否定側、後者が肯定側を担う。
14 は表面上 Հոսեմ / Հոսիմ の双方に対応可能だが、目的語を取らず「突進する/流れ込む」という自動詞的文脈なので Հոսիմ を 第一分析 とする。
6 յանդգնութեամբ は具格で「大胆さ・向こう見ずさによって」。7 տղայաբար は「子供じみて」。8 բարուք は բարք「性向・振る舞い」の具格で、辞書では副詞的に “willingly, spontaneously” の範囲も持つ。9 ինչ は後置不定要素「何らかの」。
このため 6–9 を、「子供じみた向こう見ずさや、自分から進んでそうしようという何らかの気」という累積的 cluster とする。細かな内部係りは過剰に固定しない。
HMB2018 は ի ներքս անկանել を実例として挙げ、ի ներքս を「内へ/奥へ」の副詞的表現として扱う。
本箇所では 14 հոսեցաք に付随する目的・事態として「中へ飛び込もうと突進する」。purpose と integrated event sequence の差は 残存する別解。
否定側 [5–14] と肯定側 [15–29] の二つの定動詞述語を対照する。S005 の意味骨格そのもの。
17 と24 は形態的には過去分詞。明示主語4 մեք と25 նաւեցաք の主語を共有して、状況・先行動作を表す。独立した「converb」形態カテゴリーは立てない。
HMB2018 §159 は ըստ + 与格 を「~に従って/~に即して」と明記する。19 հրամանացն は 与格複数 第一分析。
21 բռնութենէ は 奪格単数。HMB2018 §156 の ի + 奪格 による起点・由来から、ここでは原因・強制源 「~の強制によって」。
23 իշխանացն 属格複数 が「強制」の主体・源を示し、22 հարկապահանջ が前置修飾する。HMB2018 §178 により、前置された多音節修飾語が無変化なのは正常。
HMB2018 §156 は ի + 与格 の場所用法を挙げ、直接例として ի ծովուն を示す。28 ծովուս は 与格単数 第一分析。
ի └─ ծովուս 与格単数 ├─ մատենայած “書物に浸された/書物に満ちた” └─ պատմութեան 属格単数 “歴史の”
CALFA Մատենայած は “immersed in study or in books, well versed in literature” とし、Agathangelos の մատենայած ծովուս を用例として引く。人に使われる語義が「海」へ転用された文学的修飾とみる。
* Սոյն աւրինակ — 類比導入。「同じように」。
* HMB2018 §156 — ի + 与格 / 対格 / 奪格;ի + 与格 の場所用法、ի + 奪格。