「彼らはまた、天上の宝を増し、それを、より多く持つ者たちに与える。」
ローマナイズ
nokʿa ew zganjn erknawor yawelun tan aynocʿik or aṙawelagoyn unicʿin.
逐語分析
| No. | 語形 | Romanize | 品詞・形態 | 意味・機能 |
| 1 | նոքա | nokʿa | 3人称代名詞・主格複数 | 主語「彼ら」 |
| 2 | եւ | ew | 加算辞 | 「また」 |
| 3 | զգանձն | zganjn | գանձ・対格単数+定冠詞 | 5・6の共有テーマ。「その宝を」 |
| 4 | երկնաւոր | erknawor | երկնաւոր・形容詞、対格単数相当 | 3を後置修飾。「天上の」 |
| 5 | յաւելուն | yawelun | յաւելում / յաւելուլ・直説法現在3複 | 第一述語。「増す、増し加える」 |
| 6 | տան | tan | տալ・直説法現在3複 | 第二述語。「与える」 |
| 7 | այնոցիկ | aynocʿik | այն・与格複数 | 6の受領者。「その者たちに」 |
| 8 | որ | or | 関係代名詞・主格単数形 | 複数先行詞7を受ける関係節主語 |
| 9 | առաւելագոյն | aṙawelagoyn | 実体化 comparative/superlative adjective・対格単数相当 | 10の目的語。「より多くを」 |
| 10 | ունիցին | unicʿin | ունել・第一未来3複 | 関係節述語。「持つ/有する」 |
構造図
主語 [1] նոքա
├─ ADDITIVE [2] եւ
└─ ASYNDETIC PAIRED PREDICATES
├─ 定動詞 [5] յաւելուն
│ 「増し加える」
└─ 定動詞 [6] տան
「与える」
├─ SHARED THEME [3–4]
│ զգանձն երկնաւոր
│ 「天上の宝を」
└─ RECIPIENT [7] այնոցիկ 与格複数
└─ 関係節 [8–10]
主語 [8] որ
定動詞 [10] ունիցին
└─ 目的語 [9] առաւելագոյն
「より多くを」
本文読解
自然な日本語訳
「彼らはまた、すでに多くを持つ者たちに、天上の宝をさらに増し加えて与える。」
| No. | 語形 | lemma | 形態() | 節での役割 |
| 5 | յաւելուն | յաւելում / յաւելուլ | 直説法現在・3人称複数 | 第一述語。「増す/増し加える」 |
| 6 | տան | տալ | 直説法現在・3人称複数 | 第二述語。「与える」 |
| 10 | ունիցին | ունել | HMB2018の第一未来・3人称複数 | 関係節述語。「持つ/有する」 |
逐語分析 —
| No. | 語形 | 品詞・形態 | 意味・機能 |
| 1 | նոքա | 3人称代名詞・主格複数 | 主語「彼ら」 |
| 2 | եւ | 加算辞 | 「また」 |
| 3 | զգանձն | գանձ・対格単数+定冠詞 | 5・6の共有テーマ。「その宝を」 |
| 4 | երկնաւոր | երկնաւոր・形容詞、対格単数相当 | 3を後置修飾。「天上の」 |
| 5 | յաւելուն | յաւելում / յաւելուլ・直説法現在3複 | 第一述語。「増す、増し加える」 |
| 6 | տան | տալ・直説法現在3複 | 第二述語。「与える」 |
| 7 | այնոցիկ | այն・与格複数 | 6の受領者。「その者たちに」 |
| 8 | որ | 関係代名詞・主格単数形 | 複数先行詞7を受ける関係節主語 |
| 9 | առաւելագոյն | 実体化 comparative/superlative adjective・対格単数相当 | 10の目的語。「より多くを」 |
| 10 | ունիցին | ունել・第一未来3複 | 関係節述語。「持つ/有する」 |
構造図 — (概要)
主語 [1] նոքա
├─ ADDITIVE [2] եւ
└─ ASYNDETIC PAIRED PREDICATES
├─ 定動詞 [5] յաւելուն
│ 「増し加える」
└─ 定動詞 [6] տան
「与える」
├─ SHARED THEME [3–4]
│ զգանձն երկնաւոր
│ 「天上の宝を」
└─ RECIPIENT [7] այնոցիկ 与格複数
└─ 関係節 [8–10]
主語 [8] որ
定動詞 [10] ունիցին
└─ 目的語 [9] առաւելագոյն
「より多くを」
S011–S016 には treasure motif が連続する。
S011 գանձ
「宝」
S012 գանձեն
「宝を蓄える」
S016 զգանձն երկնաւոր
「天上の宝を」
S016 では、殉教者たちが単に「宝」であるだけでなく、天上の宝を増し、それを他者へ与える側へ転じる。
受け手は、
այնոցիկ որ առաւելագոյն ունիցին
「より多くを持つ者たち」
であり、直後 S017 が「持つ者には与えられ、増し加えられる」という福音書的原理を根拠として提示する。
したがって S016–S017 の論理は、
すでに持つ
↓
さらに天上の宝を与えられる
↓
それが増し加えられる
という「霊的富の増加」。
S010–S015 が貧困・裸・飢え・渇きという欠乏を満たす系列だったのに対し、S016 は初めて、すでに持つ者へさらに増加を与える側へ転換する。
この切り替えは §9 後半の構成上重要。
++++ 文法解説
* 1 նոքա 主格複数 が5 յաւելուն・6 տան の共有主語。
3 զգանձն 対格単数.DEF + 4 երկնաւոր 対格単数相当で「天上の宝を」。
5 յաւելուն と6 տան はともに独立した現在3複定動詞。単一固定句ではなく、共有テーマ3–4を持つ無接続の対述語。
source-near は「天上の宝を増し、それを…に与える」、reader-facing は一連動作として「さらに増し加えて与える」。
7 այնոցիկ は6の受領者として 与格複数。
8 որ は複数先行詞7を受ける単数主格形の関係代名詞。
9 առաւելագոյն は実体化して10 ունիցին の目的語。「より多くを」。
10 ունիցին は HMB2018 §146 の ունել 第一未来3PL。S017 の格言的原理を先取りする類型表現として「持つ」と訳す。
S017 の տացի … եւ յաւելցի は S016 の տան / յաւելուն と同じ語根を反復し、S016–S017 の説明関係を明確にする。
Matthew 25:29 / 13:12 の「持つ者には与えられ、増し加えられる」という logion が強い背景。
S010–S015 の「欠乏を満たす」系列から、S016 は「すでに持つ者へさらに増加を与える」系列への転換点。
慣用表現・定型的結合
* տալ + 与格 recipient — 通常の「~に与える」構文。
յաւելուլ — add / increase / augment。
յաւելուն տան 全体を単一固定句とする根拠は確認しない。
S016–S017 は語彙反復による説明関係を形成する。
参考文献一覧
* HMB2018 §146 — ունել 第一未来:3SG ունիցի, 3PL ունիցին。
ABE1936 §101.5 / JEN1959 §226 — 複数先行詞を受ける単数形 որ。
HMB2018 §178 / Grammar KB SYN10 — 形容詞一致・語順。
CALFA / NBHL Յաւելում, Տամ, Գանձ。
2 Chronicles 25:9 — substantival առաւելագոյն「それより多く」。
Matthew 25:29; Matthew 13:12 — 「持つ者には与えられ、増し加えられる」logion。
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