1միանգամայն 2զպարտառուսն 3հաճել, 4եւ 5անձանց 6եւս 7միանգամայն 8աւգուտ 9շահի 10աւելագոյն 11ստանալ։
番号は下の「逐語分析」「構造図」の番号と対応する。
「すなわち、債務を引き受けている者たちを満足させると同時に、自分たちのためにも、なおいっそうの利益を得ることである。」
2 պարտառու は辞書上「借り手」のほか、「他人の債務を自ら引き受けて責任を負う者」という意味をもつ。本箇所では後者を第一に取るが、近代的な法制度上の「保証人」と完全に同一とまでは断定しない。
10 աւելագոյն は「より大きな利益」と取るか「利益をより多く得る」と取るかを一方に固定しない。試訳では両者に共通する意味を「なおいっそうの利益を得る」と表した。
miangamayn zpartaṙusn hačel, ew anjancʿ ews miangamayn awgut šahi awelagoyn stanal.
| No. | 語形 | Romanize | 品詞・形態 | 意味 |
|---|---|---|---|---|
| 1 | միանգամայն | miangamayn | 副詞 | 同時に、一緒に |
| 2 | զպարտառուսն | zpartaṙusn | պարտառու・対格複数・定 | 債務を引き受けて責任を負う者たちを;「借り手」の語義もある |
| 3 | հաճել | hačel | հաճեմ・不定詞 | 満足させる、意に適わせる |
| 4 | եւ | ew | 接続詞 | そして、また |
| 5 | անձանց | anjancʿ | անձն・与格複数 | 自分たちにも、自分たちのためにも |
| 6 | եւս | ews | 副詞・加算的強調 | ~もまた |
| 7 | միանգամայն | miangamayn | 副詞 | 同時に、一緒に |
| 8 | աւգուտ | awgut | օգուտ・対格単数 | 利益、便益 |
| 9 | շահի | šahi | շահ・属格単数 | 利得、利益;8に近義的に付加 |
| 10 | աւելագոյն | awelagoyn | 比較級形;形容詞/副詞 | より大きな、より多く、なおいっそう |
| 11 | ստանալ | stanal | ստանամ・不定詞 | 得る、獲得する |
前文の「二重の利益」
│
└─ この文で二方向に具体化
省略主語 = 前文から続く航海者たち
├────────────────────┐
│ │
▼ ▼
[1–3] 第1項 [5–11] 第2項
head [3] հաճել head [11] ստանալ
├─ [1] միանգամայն ├─ BENEF [5] անձանց
│ 「同時に」 │ └─ [6] եւս
└─ OBJ [2] │ 「自分たちにも」
զպարտառուսն ├─ [7] միանգամայն
「債務を引き受けて │ 「同時に」
いる者たちを」 └─ OBJ [8] աւգուտ
├─ GEN [9] շահի
└─ DEG [10] աւելագոյն
[4] եւ
「そして/また」
[10] աւելագոյն の係り方
├─ 「より大きな利益」
└─ 「利益をより多く得る」
※ 文意を変えないため、両方の可能性を残す。
第三文では、航海者たちは既存の負債にさらに借財を重ね、「二方面に利益をもたらす手立て」を見いだせるかもしれないと述べられた。第四文は、その「二方面」の内訳を二つの不定詞句で具体化する。
第一項は զպարտառուսն հաճել。2 պարտառու は辞書上「借り手」と「他人の債務を引き受けて責任を負う者」の双方を含むが、ここでは第二項の անձանց「自分たち」と対照されるため、航海者自身とは別の、債務について責任を負う者たちを指すと読むのが自然である。
第二項は անձանց եւս … աւգուտ շահի … ստանալ。「自分たちのためにも利益を得る」である。5 անձանց は利益の帰着先を表す与格で、6 եւս が「自分たちにも」と第二の方向を強調する。
この二項を並べると、前文の երկպատիկ աւգտութիւն「二重の利益」の内容がはっきりする。
外部の債務関係者を満足させる
+
自分たちにも利益を得る
↓
二方面の利益
したがって、第三文の「二重」は単なる利益額の倍増ではなく、少なくとも本文上は利益・成果が二方向へ帰着することを指している。
物語的には、追加借入という危険な賭けが成功すれば、自分たちだけでなく、債務について責任を負う周囲の者にも好結果が及ぶ、という筋が見えてくる。ただし「失敗すれば保証人も破滅する」といった細部は本文に直接書かれているわけではなく、文脈からの補助的な読みとして区別する必要がある。
この文には明示的な定動詞がない。3 հաճել と11 ստանալ はともに不定詞で、4 եւ によって等位に結ばれる。
両不定詞の論理主語は、前文から続く同じ複数主体、すなわち航海者たちである。前文の կարասցեն をこの文に省略補充しなくても、二つの不定詞句の並列として読むことができる。
2 զպարտառուսն は対格複数・定で、3 հաճել の直接目的語となる。հաճեմ は人を表す զ- 付き対格を取り、「満足させる/意に適わせる」という用法をもつ。
պարտառու には「借り手」のほか「他人の債務を自ら引き受ける者、責任を負う者」の語義がある。本箇所では後続の անձանց「自分たち」と対照されることから、「債務を引き受けて責任を負う者」を第一の読みとする。ただし、近代法上の「保証人」という制度用語まで固定しない。
անձանց は形の上では属格・与格などが同形になりうるが、本箇所では与格複数とする。11 ստանալ「得る」に対し、「自分たちにも/自分たちのためにも」と利益の帰着先を表す。
Grabar には与格主語+不定詞の構文も存在するが、この文では3 հաճել と11 ստանալ の論理主語は前文から継続する同一の航海者たちであり、5 անձանց は新しい主語ではなく利益を受ける側として理解するのが自然である。
8 աւգուտ(օգուտ)は対格単数で11 ստանալ の直接目的語。9 շահի は շահ「利益・利得」の属格単数で、8に近義的に付加される。
古典アルメニア語には、同義・近義の名詞を重ねる際、第一の名詞が文中で必要な格を担い、後続する名詞が属格で加わる用法がある。前文までにも同種の表現があり、直後の本文にも շահ と աւգտութիւն の組合せが現れる。
そのため աւգուտ շահի は、逐語的に二語を無理に日本語へ重ねず「利益/利得」とまとめてよい。
աւելագոյն は -գոյն による比較級形で、「より大きい/より多い」という程度を加える。
ここでは、
[աւգուտ շահի աւելագոյն] 「より大きな利益」 または [աւելագոյն ստանալ] 「利益をより多く得る」
のどちらに厳密に係るかを一方へ固定しない。二つの分析は文の中心的な意味を変えないため、試訳では「なおいっそうの利益を得る」とした。
1・7 միանգամայն はそれぞれの不定詞句に「同時に」という意味を加える。その反復と4 եւ によって、二つの成果が同時に成立することが強調される。
6 եւս は5 անձանց に加算的な強調を加え、「自分たちにも」という第二の帰着先を明示する。
人や事柄を対格目的語に取り、「~を満足させる/意に適わせる/満たす」。同じ §3 第二文では զպարտս … հաճել「負担・義務を果たす」という近接用例がある。
ともに「利益・利得・便益」を表す近義語。本箇所では աւգուտ շահի と重ねて用いられる。