5–7 զիւրեանց առատութիւն եդեալ
HMB2018 には զիւրեանց փոքրկութիւնն のように、զ- が前置された所有詞側に付いて、その後続名詞を含む目的語名詞句全体を標示する例がある。
したがって本箇所も、
զ-[իւրեանց առատութիւն]
↓
եդեալ
とみなし、6 առատութիւն を7 եդեալ の目的語とするのが第一候補。
զիւրեանց առատութիւն եդեալ
「自らの富/資財を投じて」
とする。
NBHL / CALFA の առատութիւն は「豊富・豊かさ」のほか generosity / munificence 的な語義領域も持つため、「惜しみなく」という含意が完全に排除されるわけではない。しかし դնել との結合にその抽象語義を要求する独立根拠は弱い。一方 NBHL / CALFA の Դնեմ 項は դնել արծաթ ի շահ を「金銭を利益のために置く=投資する」と明示し、物的資源を投入する դնել を直接に証明する。
さらに同作者 §1 の商人描写には、
գրաւական եդեալ զանձինս շահաւորն աւգտութեան
と、自らを利益のための担保・賭け金として「置く」表現がある。したがって §4 でも եդեալ は商業活動に資源をコミットする語義場にあると判断する。
ただし過去分詞形そのものが「手段」を文法標識するわけではない。統語上は10 գործեն と主語を共有する先行副詞的分詞で、意味上は「資財投入という前提・実行条件」とする。
8–10 աշխարհի աւգուտ գործեն
NBHL / CALFA の օգուտ 項には、
ոչ ինչ օգուտ գործէին եկելոցն
「来た者たちに何の益もなさなかった」
Յոլովից՝ բանք խրատուց ոչինչ օգուտ գործեն
「多くの者には、訓戒の言葉も何の益もなさない」
のように、օգուտ գործել が「益の受け手」を斜格で伴う用例がある。
さらに同作者 §5 に、
եւ այլոց աւգուտ մարթեն լինել
「そして他者に益となることができる」
というほぼ同じ意味配置がある。
したがって、
աշխարհի 与格単数
աւգուտ 対格単数
գործեն
「世界に益をなす」
を採用する。
属格単数 として [աշխարհի աւգուտ]「世界の利益」という一つの目的語名詞句を作る分析は形態上は可能だが、օգուտ գործել の項構造、§5 の作者内平行、後続 §4 S003 以下の benefit-recipient 列挙から劣る。
11 զարդարեալ — 過去分詞と定動詞
HMB2018 §177 は、同一主体を共有する過去分詞と定動詞が一文中で連鎖する構造を記述する。
本箇所では、
բազումք / որ
├─ եդեալ
├─ գործեն
└─ զարդարեալ
と、7・10・11 が同じ複数主体を共有する構造を第一候補とする。
19–20 ակամբք պատուականաւք
19 ակամբք は ակն「宝石」の具格複数、20 պատուականաւք も具格複数で一致する。
独立平行に、
զարդարեաց զտունն ակամբք պատուականօք
「その家を貴石で飾った」
があるため、
զարդարեալ զթագաւորս ... ակամբք պատուականաւք
「王たちを……貴石で飾って」
は強い分析。
13–16 ի գիւտ ծանրագին մարգարտին — 獲得を経由した MEANS
14 գիւտ は 対格単数、16 մարգարտին はその 属格単数 補語。
ի
└─ գիւտ 対格単数
└─ մարգարտին 属格単数
← ծանրագին
HMB2018 §156 は ի + 対格 に、具格相当の意味と目的の双方を認める。したがって形態だけでは MEANS と PURPOSE を区別できない。
しかし局所構造は、
զարդարեալ զթագաւորս
├─ ի գիւտ ծանրագին մարգարտին
├─ եւ զանազան ակամբք պատուականաւք
└─ եւ կերպասու ...
と、二つの եւ によって貴石・絹織物と並ぶ装飾資源/手段の列挙を作る。PURPOSE を選ぶと第1項だけ意味役割が外れる。
さらに同作者 §8 は、
մարգարիտն պատուական
ականք պատուականք ի Հնդկային աշխարհէն
...
մեծաջանք եղեալ ի գտանել՝ զթագաւորս զարդարեցին
と、「真珠・貴石を遠くから苦労して得る → 王を飾る」という出来事順序を明示する。
また Agathangelos は §2 の զգիւտս իւրեանց、§17 の զգիւտս աշխատութեան մերոյ で գիւտ を「得たもの・獲得物」の意味で用いる。
したがって文法ラベルは MEANS / ENABLING ACQUISITION。日本語では硬い「入手によって」より、
「高価な真珠を手に入れ、……王たちを飾る」
と順接的に訳す。純粋な物質具格ではなく、「獲得という先行過程を介して装飾を可能にする」関係である。
18–20 զանազան ակամբք պատուականաւք — 通常の具格
19 ակամբք と20 պատուականաւք は 具格複数。
独立平行の
զարդարեաց զտունն ակամբք պատուականօք
「家を貴石で飾った」
により、11 զարդարեալ の明白な手段句とする。
22–25 կերպասու յերանգ երանգս գունոցն — U曲用単数具格+色彩指定
կերպասու 具格単数
└─ COLOR [23–25]
յերանգ երանգս գունոցն
「色とりどりの」
23–25 の反復的色彩表現は NBHL / CALFA の Երանգ երանգ գունոցն պատմուճանք、Agathangelos §1 の յերփն երփն …、§268 の ի գունագոյն երանգս などによって支持される。