1եւ 2ո՞վ 3այն 4իցէ 5կարող, 6որ 7զխորս 8անդնդոց 9ծովուն 10քննել 11խրոխտիցի.
「そして、海の深淵の奥底を究めることを大胆にも敢えて企てようとする、そのような力量ある者は、いったい誰であろうか。」
この疑問は情報を求める問いではなく、S002 の「そんな労苦を自発的に担える者はいない」をさらに強める修辞疑問として読む。
ew o?v ayn icʿē karoł, or zxors andndocʿ covun kʿnnel xroxticʿi.
| No. | 語形 | 品詞・形態(採用分析) | 意味・機能 |
|---|---|---|---|
| 1 | եւ | 接続詞/談話接続 | S002 を受け「そして/そもそも」 |
| 2 | ո՞վ | 疑問代名詞 | 「誰が」。文全体の疑問中心 |
| 3 | այն | 指示代名詞 主格単数 第一分析 | 6 որ と相関。「そのような者」 |
| 4 | իցէ | եմ 第一未来/接続法系列3SG | 主節の定動詞コピュラ |
| 5 | կարող | 形容詞 主格単数 | 述語形容詞「できる、力量ある」 |
| 6 | որ | 関係代名詞 主格単数 | 3 を受ける関係節主語 |
| 7 | զխորս | խոր / խորք 対格複数 | 10 の目的語 中心語。「深み、奥底」 |
| 8 | անդնդոց | անդունդ 属格複数 | 7 を限定。「深淵の」 |
| 9 | ծովուն | ծով 属格単数 第一分析 | 8 または7–8全体を限定。「海の」 |
| 10 | քննել | Քննեմ 不定詞 | 11 の不定詞補部。「調べる、究める」 |
| 11 | խրոխտիցի | Խրոխտիմ 第一未来/接続法系列・3人称単数 | 「大胆にも敢えて企てる、挑もうとする」 |
AGATH.§6.S03
[1] եւ
discourse-additive → S002
MAIN RHETORICAL QUESTION
[2] ո՞վ
└─ [3] այն
[4] իցէ [5] կարող
“いったい誰がそのような力量ある者であろうか”
↓
RELATIVE [6–11]
[6] որ
└─ 定動詞 [11] խրոխտիցի
“大胆にも敢えて企てようとする”
└─ 不定詞 [10] քննել
“究めることを”
└─ 目的語 [7–9]
զխորս անդնդոց ծովուն
“海の深淵の奥底を”
sentence 中心状態 = RESOLVED_HEAD;文の中心 = [4] իցէ。従属節の定動詞中心語 = [11] խրոխտիցի。
「そもそも、海の深淵の奥底を究めようなどと、大胆にも企てられるほどの者が、いったい、誰かいるだろうか。」
上の「試訳」は原文の語順・構造との対応を優先した訳である。ここでは、一部の意訳や語順調整を許し、日本語としての流れと読みやすさを優先した自然化訳を示す。
S002 は、「汗に満ちたこの労苦を自分から引き受ける者など、人間のうちには誰もいない」と述べた。S003 は同じ謙抑を、今度は海洋譬喩へ戻して修辞疑問にする。
S002
この労苦を自発的に担える者はいない
↓
S003
ո՞վ ... կարող
“いったい誰にそんな力量があるのか”
↓
զխորս անդնդոց ծովուն
“海の深淵の奥底”
↓
քննել խրոխտիցի
“大胆にも究めようと企てる”
ここでは 5 կարող と11 խրոխտիցի を同じ「できる」に潰さないことが重要である。前者は能力・力量、後者は 大胆に踏み込む/敢えて企てる という意志・態度を表す。したがって問いは、単に「誰が調査可能か」ではなく、これほど深い対象へ踏み込もうとするほどの力量と大胆さを、誰が持ちうるのかという謙抑的反語になる。
また、S001 の իմաստութեան ծով「知恵の海」が、S003 では զխորս անդնդոց ծովուն「海の深淵の奥底」へ深化する。比喩の困難度が「航海する」から「深淵を究める」へ高められている。
2 ո՞վ は「誰」。4 իցէ は HMB2018 §148 に示される եմ の第一未来/接続法系列3単。疑問文では「いったい誰が~であろうか」。
HMB2018 §185 の Դու ես այն, որ … と同じく、3 այն が先行詞的・相関的要素、6 որ が関係節を導く。
本箇所では 2 ո՞վ と重なり、「いったい誰が、そのような……する者であろうか」という修辞疑問を作る。3 այն の指示強調としての色合いも残る。
5 կարող は 主格単数 の述語形容詞。「能力がある、できる」。11 խրոխտիցի の大胆さとは役割を分ける。
7 զխորս を実体詞的 խոր / խորք「深み、奥底」の 対格複数 中心語 とする。
զխորս 対格複数 “the depths”
└─ անդնդոց 属格複数 “of the abysses”
└─ ծովուն 属格単数 “of the sea”
Grabar Bible には ի խորս անդնդոց(詩 68:2; 106:24)と զխորս ծովուն(イザ 51:10)がそれぞれ実在し、両結合を支持する。
9 ծովուն が8だけを狭く修飾するか7–8全体へ広くかかるかには小幅な attachment 残存する別解 があるが、いずれも「海の深淵の奥底」という理解に収束する。
10 は Քննեմ の不定詞。「調べる、吟味する、究める」。7–9 を直接目的語に取る。
HMB2018 §112 では I活用第一未来3単の語尾は -իցի。CALFA の lemma Խրոխտիմ, եցայ と一致する。
CALFA には Խրոխտէր ի պատերազմ ելանել のように Խրոխտիմ + infinitive があり、「大胆にも~しようとする/敢えて~に踏み込む」という valency を直接支持する。
したがって 10 քննել を11の不定詞補部とする。
固定慣用句として新たに登録すべきものは確認しない。
* HMB2018 §148 — եմ 第一未来 իցէ。