1Իսկ 2այսպիսի 3վաճառաց 4ո՞յր 5ուրուք 6արդեաւք 7զի՞նչ 8գին 9բաւիցէ.
「では、このようなものに対して、いったい誰の、どれほどの代価なら足りるだろうか。」
Isk ays-pisi vačaṙacʿ oyr urukʿ ardeawkʿ zi-nčʿ gin bawicʿē.
| No. | 語形 | Romanize | 品詞・形態 | 意味・機能 |
|---|---|---|---|---|
| 1 | Իսկ | Isk | 接続詞/談話標識 | では/さて。前段から問いへ転じる |
| 2 | այսպիսի | ays-pisi | 指示的形容語、3を修飾 | このような |
| 3 | վաճառաց | vačaṙacʿ | վաճառ 与格複数(属格・与格同形) | 取引・商品・売買。բաւիցէ の関係/基準項 |
| 4 | ո՞յր | oyr | 人物疑問代名詞 属格単数 | 誰の |
| 5 | ուրուք | urukʿ | ոք 属格単数、4を強調 | いったい誰の、の強調成分 |
| 6 | արդեաւք | ardeawkʿ | 疑問強調副詞 | いったい/果たして |
| 7 | զի՞նչ | zi-nčʿ | 疑問語、8を連体修飾 | どのような/どれほどの |
| 8 | գին | gin | 名詞 主格単数 | 代価、値。բաւիցէ の主語 |
| 9 | բաւիցէ | bawicʿē | բաւել, SBJV.FUT1.ACT.3SG | 足りるだろうか/十分であろうか |
Իսկ
└─ բաւիցէ 定動詞: 「足りるだろうか」
├─ այսպիսի վաճառաց 与格複数: 「十分である」ことの関係・基準
└─ [ո՞յր ուրուք արդեաւք զի՞նչ գին] 主語名詞句
├─ ո՞յր ուրուք արդեաւք 属格単数: 「いったい誰の」
└─ զի՞նչ գին 主格単数: 「どれほどの代価」
վաճառաց は 属格・与格の同形 を持つ。属格複数「このような商品の価格」という局所解析にも辞書上の平行結合があるが、文全体の 係り先 と բաւել の 「十分である」ことの関係 を同時に満たす 与格複数 を採用した。
§10 は「高価な真珠」մարգարիտ と価値・売買の語彙を反復し、S006 では վաճառեցին が現れる。§11 S001 は այսպիսի վաճառաց と գին によってその価値比喩を明示的な問いへ転じる。
問いは単に「価格はいくらか」ではない。ո՞յր ուրուք արդեաւք が「いったい誰の」を前置するため、焦点は「これに見合う代価を誰が持ち得るのか/どれほどの代価なら十分なのか」に置かれる。続く S002 以下の応答・勧告を導入する修辞疑問として読む。
* ո՞յր ուրուք արդեաւք — JEN1959 §222 の人物疑問詞+ոք 強調型に対応する。ո՞յր と ուրուք はともに属格単数形で、「いったい誰の」という一つの強調疑問句を形成すると判断した。
զի՞նչ գին — JEN1959 §§221–224 により զի/զինչ は単純な対格標識付き目的語に限定されず、名詞を修飾する疑問用法を持つ。ここでは գին を修飾し「どのような/どれほどの代価」。բաւիցէ — CALFA は Բաւեմ, եցի「足りる/十分である」に帰属させる。HMB2018 §114 の Ե խոնարհում・第一未来接続法 能動3人称単数 の型と一致する。վաճառաց — 形態上 属格・与格複数同形。CALFA Գին には ի գինս վաճառոյ のような գին + վաճառ の属格結合 の実例もあるため 属格分析を実際に比較したが、本句では բաւել の関係/基準項として 与格複数 を採用した。
* ո՞յր ուրուք արդեաւք は完全な 語彙化した 慣用句 とまでは認定しない。ただし JEN1959 §222 が記述する「疑問詞+ոք による強調」の文法的パターンとして扱う。
զի՞նչ գին բաւիցէ について独立した慣用句認定は不要。* Agathangelos, Պատմութիւն Հայոց, §11.
ոք による強調、զի/զինչ の用法。Վաճառ, Գին, Ոք, Բաւեմ — 語彙・語形上の参照。