1Վասն 2այսորիկ 3ընդ 4անհնարին 5պատերազմ 6մարտնչին 7ի 8մէջ 9բարձրացելոց 10ջրեղէն 11լերանց 12եւ 13ի 14մէջ 15խոնարհելոց 16ծովային 17ձորոցն, 18ջանան 19զապրուստ 20անձանց 21փրկութեան 22գտանել, 23զի 24ի 25շրջանացն 26շփոթեալ 27ուռուցիկ 28փոթորկացն 29բքացելոց 30զերծանել 31եւ 32յանքոյթ 33նաւահանգիստն 34հասանել 35կարասցեն.
番号は下の「逐語分析」「構造図」の番号と対応する。
「このため彼らは、そびえ上がった水の山々と沈みこんだ海の谷々のただ中で、苛烈な戦いを繰り広げ、自分たちの身を救う手立てを見いだそうと努める――入り乱れ、膨れ上がり、吹き荒れる嵐の渦から逃れ、安全な港へ到達できるように。」
Vasn aysorik ənd anhnarin paterazm martnčʿin i mēǰ barjracʿelocʿ ǰrełēn lerancʿ ew i mēǰ xonarhelocʿ covayin jorocʿn, ǰanan zaprust anjancʿ pʿrkutʿean gtanel, zi i šrǰanacʿn špʿotʿeal uṙucʿik pʿotʿorkacʿn bkʿacʿelocʿ zercanel ew yankʿoytʿ nawahangistn hasanel karascʿen.
| No. | 語形 | Romanize | 品詞・形態 | 意味・機能 |
|---|---|---|---|---|
| 1 | Վասն | vasn | 前置詞;2 属格を支配 | ~のために |
| 2 | այսորիկ | aysorik | 指示代名詞・属格単数 | このことの;1と Վասն այսորիկ「このため」 |
| 3 | ընդ | ənd | 前置詞;5 պատերազմ の対格単数を支配 | ~の中で/~という状況で |
| 4 | անհնարին | anhnarin | 形容詞・前置修飾 | 激しい、苛烈な、凄まじい |
| 5 | պատերազմ | paterazm | 名詞・対格単数;3の補部 | 戦い、戦闘 |
| 6 | մարտնչին | martnčʿin | մարտնչիմ・直説法現在3人称複数 | 戦う、奮闘する |
| 7 | ի | i | 8と ի մէջ を形成 | ~の中で |
| 8 | մէջ | mēǰ | 名詞由来の前置詞的要素;9–11の属格句を取る | ただ中 |
| 9 | բարձրացելոց | barjracʿelocʿ | բարձրանամ → բարձրացեալ・過去分詞・属格複数;11と一致 | そびえ上がった |
| 10 | ջրեղէն | ǰrełēn | 形容詞・前置修飾 | 水の、水から成る |
| 11 | լերանց | lerancʿ | լեառն・属格複数;7–8の補部の中心 | 山々の |
| 12 | եւ | ew | 接続詞 | そして |
| 13 | ի | i | 14と ի մէջ を形成 | ~の中で |
| 14 | մէջ | mēǰ | 名詞由来の前置詞的要素;15–17の属格句を取る | ただ中 |
| 15 | խոնարհելոց | xonarhelocʿ | խոնարհիմ 系 խոնարհեալ・過去分詞・属格複数;17と一致 | 低く落ち込んだ、沈みこんだ |
| 16 | ծովային | covayin | 形容詞・前置修飾 | 海の、海上の |
| 17 | ձորոցն | jorocʿn | ձոր・属格複数・定;13–14の補部の中心 | 谷々の、谷間の |
| 18 | ջանան | ǰanan | ջանամ・直説法現在3人称複数 | 努める、力を尽くす |
| 19 | զապրուստ | zaprust | ապրուստ・対格単数;22 գտանել の直接目的語 | 生存・救命の手立て、助かるすべ |
| 20 | անձանց | anjancʿ | անձն・属格複数;21の目的語的属格 | 自分たちの身の |
| 21 | փրկութեան | pʿrkutʿean | փրկութիւն・属格単数;19を限定する目的属格 | 救命のための |
| 22 | գտանել | gtanel | 不定詞 | 見いだす |
| 23 | զի | zi | 接続詞;18–22に係る目的節を導く | ~するために、~できるように |
| 24 | ի | i | 25の奪格複数を支配 | ~から |
| 25 | շրջանացն | šrǰanacʿn | շրջան・奪格複数・定;24の補部 | 渦、渦巻きから |
| 26 | շփոթեալ | špʿotʿeal | Շփոթեմ / Շփոթիմ 系・過去分詞;28の前置修飾 | 入り乱れた、かき乱された |
| 27 | ուռուցիկ | uṙucʿik | 形容詞;28の前置修飾 | 膨れ上がった |
| 28 | փոթորկացն | pʿotʿorkacʿn | փոթորիկ・属格複数・定;25を後置属格修飾 | 嵐、暴風の |
| 29 | բքացելոց | bkʿacʿelocʿ | բքացեալ・過去分詞的形容詞・属格複数;28に後置一致 | 吹き荒れる、荒れ狂う |
| 30 | զերծանել | zercanel | Զերծանիմ 系・不定詞;24–29を離脱源に取る | 逃れる、脱する |
| 31 | եւ | ew | 接続詞;30と34を並列 | そして |
| 32 | յանքոյթ | yankʿoytʿ | յ- < ի + անքոյթ;方向を表す前置詞 + 前置形容詞 | 安全な~へ |
| 33 | նաւահանգիստն | nawahangistn | նաւահանգիստ・対格単数・定;34の到達点 | 港へ |
| 34 | հասանել | hasanel | հասանեմ・不定詞 | 到達する |
| 35 | կարասցեն | karascʿen | կարել(կարողանալ)・接続法3人称複数、未来価値 | ~することができるように |
[1–2] Վասն այսորիկ
「このため」
│
▼
Ø = 前文から続く航海者たち
│
├─ 主節A
│ [6] մարտնչին
│ 「戦う/奮闘する」
│ ├─ [3–5] ընդ անհնարին պատերազմ
│ │ 「苛烈な戦いの中で」
│ └─ 場所
│ ├─ [7–11] ի մէջ [բարձրացելոց ջրեղէն լերանց]
│ │ 「そびえ上がった水の山々のただ中で」
│ └─ [12–17] եւ ի մէջ [խոնարհելոց ծովային ձորոցն]
│ 「沈みこんだ海の谷々のただ中で」
│
└─ 主節B
[18] ջանան
「努める」
└─ [22] գտանել
「見いだす」
├─ OBJ [19] զապրուստ
│ 「救命の手立て」
│ └─ [21] փրկութեան
│ 「救命のための」
│ └─ [20] անձանց
│ 「自分たちの身の」
│
└─ 目的節
[23] զի
└─ [35] կարասցեն
「~できるように」
├─ [30] զերծանել
│ 「逃れる」
│ └─ SOURCE
│ [24] ի + [25] շրջանացն
│ 「渦から」
│ └─ GEN [28] փոթորկացն
│ ├─ PRE [26] շփոթեալ
│ ├─ PRE [27] ուռուցիկ
│ └─ POST [29] բքացելոց
│ 「入り乱れ、膨れ上がり、
│ 吹き荒れる嵐の渦から」
│
└─ [31] եւ [34] հասանել
「そして到達する」
└─ GOAL
[32–33] յ [անքոյթ նաւահանգիստն]
「安全な港へ」
前節は、航海者たちが危険を冒す理由を、収益、家族、負債、隷属、さらに仲間・敵・親愛者との社会的関係から説明した。本句の Վասն այսորիկ「このため」は、その説明全体を受けて、視点を再び海上の闘争そのものへ戻す。
海面は բարձրացելոց ջրեղէն լերանց「そびえ上がった水の山々」と խոնարհելոց ծովային ձորոցն「沈みこんだ海の谷々」として描かれる。上昇する波頭と落ち込む波間を「山」と「谷」の対照で捉えた表現であり、§1 以来続いてきた荒海の上下運動を、より立体的な景観として言い直している。
航海者たちはその中で մարտնչին「戦う」と述べられ、続いて ջանան … գտանել「見いだそうと努める」と目的志向的に捉え直される。彼らが求めるものは զապրուստ անձանց փրկութեան、すなわち単なる「生計」ではなく「自分たちの身を救う手立て」である。
その内容は目的節 զի … կարասցեն によって具体化される。まず「入り乱れ、膨れ上がり、吹き荒れる嵐の渦から逃れること」、次に「安全な港へ到達すること」である。統語的にはこの目的節は直前の ջանան … գտանել に係るが、意味上は մարտնչին を含む航海者たちの行動全体の目標を示している。
「港への到達」は序文の反復モチーフでもある。同作者には հասանել ի նաւահանգիստն խաղաղութեան「平安の港へ到達する」や、ի հողմախաղաղ յանքոյթ նաւահանգիստն հասեալ「風静かで安全な港へ到達して」のような表現があり、荒海から港へという運動が繰り返し用いられている。
9 բարձրացելոց は բարձրանամ「上がる」の過去分詞 բարձրացեալ の複数斜格形で、11 լերանց「山々」と一致する。15 խոնարհելոց も խոնարհիմ 系の過去分詞 խոնարհեալ の属格複数として、17 ձորոցն「谷々」と一致する。
խոնարհելոց は形態上、未来分詞と同形になりうるが、この文では「水の山々/海の谷々」という並行構造の中で、すでに形成された波の高低を描写している。したがって両者を同じ過去分詞の属性修飾として読む。
պատերազմ は主格・対格単数が同形だが、ここでは ընդ に支配される対格単数。HMB2018 §158 と ABE1936 §§213–214 が示す ընդ + ACC の局所・状況的用法に沿い、「苛烈な戦いの中で」と読む。
մարտնչիմ が対戦相手を表す場合には ընդ + 人物・集団が用いられるが、本句の պատերազմ は相手ではなく、航海者が置かれている戦闘的状況そのものを表す。
անհնարին は直訳的な「不可能な」ではなく、強意的に「苛烈な、凄まじい」。CALFA / NBHL にも Պատերազմ անհնարին の結合が記録される。
19 ապրուստ は「生活・生計」だけでなく、生存・救済・脱出に接近する語義を持つ。本句では 21 փրկութեան が19を限定する目的属格で、「救命のための手立て」という関係を作る。
20 անձանց は21 փրկութեան に係る目的語的属格で、փրկութիւն անձանց「人々/身の救い」という関係になる。KOS1980 の属格分類では、փրկութիւն անձանց が目的語的属格、պատարագս փրկութեան 型が目的属格の独立例として確認できる。
したがって全体を、
զապրուստ
└─ փրկութեան
└─ անձանց
「自分たちの身を救う手立て」
と読む。
HMB2018 §189 は、զի が目的節を導く用法を記述する。本句では կարասցեն「彼らが~できる」が目的節の定動詞で、二つの不定詞 զերծանել「逃れる」と հասանել「到達する」を共有して支える。
զի └─ կարասցեն ├─ զերծանել └─ եւ հասանել
直前の ջանան … գտանել「見いだそうと努める」に統語的に係り、「逃れ、到達できるように」という目的を表す。
24 ի は奪格を支配し、25 շրջանացն は奪格複数・定。「~から逃れる」という離脱源を表す。
շրջան は「循環・旋回」のほか水流の「渦」を表し、CALFA / NBHL には շրջանք ջուրց「水の渦」が記録される。同作者にも շրջանք ժամանակաց「時の循環」のような շրջան + 後置属格の構造がある。
したがって 28 փոթորկացն は25を限定する属格複数・定で、
շրջանացն փոթորկացն 「嵐の渦から」
となる。
中心語は28 փոթորկացն「嵐の」。26 շփոթեալ と27 ուռուցիկ が前置し、29 բքացելոց が後置する。
JEN1959 §§422–426 は、分詞を含む形容詞的属性について、後置属性は原則として中心語と数・格一致し、多音節の前置属性は通常、裸形を保つとする。本文はこの配列に沿う。
շփոթեալ ուռուցիկ փոթորկացն բքացելոց PRE PRE HEAD POST 「入り乱れ、膨れ上がり、吹き荒れる嵐の」
շփոթեալ は Շփոթեմ / Շփոթիմ 系の過去分詞で、ここでは「入り乱れた、かき乱された」という状態を表す。ուռուցիկ は「膨れ上がった」。բքացելոց は辞書に Agathangelos の形として記録される բքացեալ の属格複数で、海上の文脈では「吹き荒れる、荒れ狂う」と読む。
CALFA / NBHL は他動 Զերծանեմ「~を救い出す」と、自動・中動 Զերծանիմ「逃れる、解放される」を区別する。
本句は直接目的語を取らず、
ի շրջանացն ... զերծանել 「……の渦から逃れる」
という離脱源を伴うため、Զերծանիմ 系の用法である。
32 յ- は前置詞 ի の異形。HMB2018 §156 は ի/յ + ACC に移動方向の用法を認めるため、33 նաւահանգիստն は対格単数・定となり、34 հասանել「到達する」の到達点を表す。
հասանել └─ յ [անքոյթ նաւահանգիստն] 「安全な港へ到達する」
անքոյթ は CALFA / NBHL で safe, secure を第一義とし、անքոյթ նաւահանգիստ 自体が「安全な港」の直接例として記録される。「穏やかな、波立たない」という含意もあるが、同作者が հողմախաղաղ「風静かな」と անքոյթ を併置する例を持つため、本文訳ではより広い「安全な」を採る。