1փոխ 2եւս 3ի 4պարտուցն 5ի 6վերայ 7առեալ, 8թերեւս 9երկպատիկ 10աւգտութեան 11ելի 12աղագս 13գտանել 14կարասցեն.
番号は下の「逐語分析」「構造図」の番号と対応する。
「さらに、既存の負債に重ねて借財をし、ひょっとすると、二方面に利益をもたらす手立てを見いだすことができるかもしれない。」
9–10 երկպատիկ աւգտութեան を直訳すれば「二重の利益」である。直後の第四文がその二つの成果を具体的に展開するため、試訳では意味を明瞭にして「二方面に利益をもたらす」とした。
pʿox ews i partucʿn i veray aṙeal, tʿerews erkpatik awgtutʿean eli ałags gtanel karascʿen.
| No. | 語形 | Romanize | 品詞・形態 | 意味 |
|---|---|---|---|---|
| 1 | փոխ | pʿox | 名詞・対格単数・不定;裸対格 | 借財、借入 |
| 2 | եւս | ews | 副詞 | さらに、もう一つ |
| 3 | ի | i | 複合関係語の第一要素 | 3–6 の ի + 属格 + ի վերայ を形成 |
| 4 | պարտուցն | partucʿn | պարտք・属格複数・定 | 負債、借財の |
| 5 | ի | i | 複合関係語内部 | 6 վերայ とともに ի վերայ を形成 |
| 6 | վերայ | veray | 複合関係語の第二要素 | ~の上に、~に重ねて |
| 7 | առեալ | aṙeal | առնուլ・過去分詞;副詞的分詞用法 | 借財をして、借り入れて |
| 8 | թերեւս | tʿerews | 疑念・推量を表す語 | ひょっとすると、もしかすると |
| 9 | երկպատիկ | erkpatik | 形容詞・前置非一致 | 二重の、二方面の |
| 10 | աւգտութեան | awgtutʿean | օգտութիւն / աւգտութիւն・属格単数 | 利益、便益 |
| 11 | ելի | eli | ել・属格単数 | 出口、解決;定型表現内部で方策に関係 |
| 12 | աղագս | ałags | աղագ・対格複数 | 手立て、方途を表す定型表現内部の名詞 |
| 13 | գտանել | gtanel | 不定詞 | 見いだす |
| 14 | կարասցեն | karascʿen | կարեմ・接続法3人称複数 | ~することができる/できるかもしれない |
Ø主語 = 前文から続く航海者たち
├─ [7] առեալ の動作主
├─ [13] գտանել の論理主語
└─ [14] կարասցեն の主語
[1–7] 前置された副詞的分詞句
head [7] առեալ
├─ OBJ [1] փոխ
│ └─ [2] եւս
│ 「さらに借財を」
└─ [3–6] ի պարտուցն ի վերայ
ի + [4] պարտուցն[属格複数・定] + ի վերայ
「既存の負債の上に/それに重ねて」
≈ 「既存の負債に重ねて、さらに借財をし」
│
▼
[8] թերեւս
「ひょっとすると」
│
▼
[9–14] 主節
head [14] կարասցեն
└─ [13] գտանել
「見いだす」
└─ [11–12] ելի աղագս
「方策・手立て」
↑
└─ [9–10] երկպատիկ աւգտութեան
直訳「二重の利益」
直後の第四文
├─ 債務を引き受けている者たちを満足させる
└─ 自分たちのためにも利益を得る
= 「二重」の具体的な二方向
前文では、航海者たちは貪欲からではなく、貧困や窮乏、負債に迫られて危険を冒すと説明された。彼らが望むのは、課された負担を果たし、負債から自らを解放することである。
第三文はその行動を逆説的に一段進める。負債から逃れようとする者たちが、既存の負債にさらに借財を重ねるのである。1 փոխ と7 առեալ は փոխ առնուլ「借りる/借財を受ける」という結合をなし、3–6 ի պարտուցն ի վերայ は「負債の上に/負債に重ねて」を表す。
7 առեալ は主節に先行する副詞的分詞である。文脈上、追加借入が後続する成功可能性と密接に結びつくことは明らかだが、この形そのものが「手段」「原因」のどちらか一つを要求するわけではない。そのため試訳でも「借財をすることによって」と明示せず、「借財をし」と関係を開いたままにした。
そのうえで作者は、8 թերեւս「ひょっとすると」と14 կարասցեն「~することができる/できるかもしれない」を重ね、成功の可能性を慎重に提示する。
9–10 երկպատիկ աւգտութեան は直訳すれば「二重の利益」。これだけでは何が「二重」なのか曖昧だが、直後の第四文を読むと内容が明らかになる。第一の成果は、債務を引き受けて責任を負う者たちを満足させること、第二の成果は、自分たち自身にも利益を得ることである。したがって試訳では、量的な「二倍」と誤解されにくいよう「二方面に利益をもたらす」とした。
11–13 ելի աղագս գտանել は「方策・手立てを見いだす」という定型的な意味をもつ。第三文は、追加借入という危険な賭けによって、二方向の問題を同時に解決できる可能性を見込む場面を描いている。
1 փոխ は「借財、借入」を表す名詞で、7 առեալ(առնուլ の過去分詞)の目的語となる。փոխ առնուլ 全体で「借りる/借財を受ける」を意味する。
不定の普通名詞が直接目的語になる場合、対格でも զ- を伴わないことがある。本箇所の փոխ はその裸対格とみられる。
3–6 は、
ի + պարտուցն[属格複数・定] + ի վերայ
という分離配置で、「既存の負債の上に/それに重ねて」を表す。ի վերայ は属格を支配し、構成要素の間に支配名詞が挟まる配置がある。
7 առեալ は過去分詞で、主節14 կարասցեն と同じ複数主体を共有する。ここでは主節に先行する背景動作を表し、「借財をし」と訳す。
先行・前提という関係は明瞭だが、この形だけから「手段」「原因」と一義的に決める必要はない。
8 թերեւս は「ひょっとすると」という疑念・推量を表し、14 կարասցեն は「~することができる/できるかもしれない」。թերեւս は14一語だけでなく、後続する主節命題全体を不確定化する。
原文では可能性表現が重なるため、試訳でも「ひょっとすると……できるかもしれない」と重なりを残した。
9 երկպատիկ は10 աւգտութեան「利益」を前から修飾し、直訳すれば「二重の利益」となる。前置形容詞が中心語と表面上の格一致を示さないことは Grabar で可能である。
この「二重」の具体的内容は第四文が二項に展開する。そのため訳文では、原語の直訳は本文読解に保持しつつ、「二方面に利益をもたらす」と意味を明瞭にした。
11–13 は一まとまりで「方策・手立てを見いだす」という定型的な意味を形成する。内部形態は、11 ելի が ել の属格単数、12 աղագս が աղագ の対格複数、13 գտանել が不定詞である。
13 գտանել は14 կարասցեն の不定詞補部であり、同じ省略された複数主語を共有する。したがって「彼らが見いだすことができる」という構造になる。
「借りる/借財を受ける」。本箇所では փոխ … առեալ と離れて現れる。
「方策・手立てを見いだす」。本箇所そのものが語彙資料に用例として収録される。
「~の上に/~に重ねて」。本箇所では ի պարտուցն ի վերայ の分離配置を取る。