1Նոքա 2եւ 3զկարաւտս 4լցուցանեն 5երկնաւոր 6առատութեամբ։
「彼らはまた、欠乏する者たちを天上の豊かさによって満たす。」
Nokʿa ew zkarawts lcʿucʿanen erknawor aṙatutʿeamb.
| No. | 語形 | Romanize | 品詞・形態 | 意味・機能 |
|---|---|---|---|---|
| 1 | Նոքա | Nokʿa | 3人称指示代名詞・主格複数 | 「彼ら」。§8 で語られた霊的な者たちへ戻る複数主体 |
| 2 | եւ | ew | 接続詞/添加辞 | 主語の後で「また、彼らも」 |
| 3 | զկարաւտս | zkarawts | կարաւտ / կարօտ・名詞化形容詞、対格複数 | 4の目的語。「欠乏する者たち、困窮者たちを」 |
| 4 | լցուցանեն | lcʿucʿanen | Լցուցանեմ・直説法現在3複 | 「満たす、充足させる」 |
| 5 | երկնաւոր | erknawor | 形容詞、前置・無変化 | 6を修飾。「天上の、天的な」 |
| 6 | առատութեամբ | aṙatutʿeamb | Առատութիւն・具格単数 | 4の充足内容。「豊かさをもって/豊かさで」 |
主語
[1] Նոքա
「彼ら」
│
├─ ADDITIVE [2] եւ
│ 「また」
│
└─ 定動詞 [4] լցուցանեն
「満たす」
├─ 目的語 [3] զկարաւտս
│ 「欠乏する者たちを」
└─ 内容 / INSTRUMENTAL [5–6]
երկնաւոր առատութեամբ
「天上の豊かさで」
「彼らはまた、困窮する者たちを天上の豊かさで満たす。」
§8 の終盤では、単数主語 ճաճանչ「霊的な光」が、万人を満たし、貧しい者たちを満たし、世界と一年を祝福で冠するものとして描かれた。
§9 はその作用を、光という比喩的単数主体から、その光を担う複数の人々へ戻す。
冒頭の
Նոքա եւ 「彼らはまた」
は、新しい人物を突然導入するというより、§8 S001 の հոգեւորացն「霊的な者たち」、աստուածասէր սիրողացն「神を愛する者たち」へ複数主体として戻るものと読む。§9 S009 では彼らが「主のために苦しみ、死んだ者たち」とさらに具体化される。
述語構造は、
զկարաւտս ↓ լցուցանեն ↓ երկնաւոր առատութեամբ
「欠乏する者たちを、天上の豊かさで満たす」。
CALFA/NBHL の Լցուցանեմ には、
Կերակրովք եւ ըմպելեօք զկարօտն լցուցանես 「食べ物と飲み物で欠乏する者を満たす」
という、ほぼ同一の項構造の用例がある。
さらに、
Զգանձս նոցա լցուցից բարութեամբ 「彼らの宝を善で満たそう」
のように、対格の充足対象+具格の充足内容という配列が確認できる。
したがって6 առատութեամբ は単なる手段「豊かさを用いて」より、何によって満たされるかという内容を表す具格と読む。
§8 S003 の զամենեսեան լցուցանէ「万人を満たす」、§8 S004 の զաղքատս լցուցանէ「貧しい者たちを満たす」に対し、§9 S001 は զկարաւտս լցուցանեն「欠乏する者たちを満たす」と、同じ լցուցանեմ を単数主語から複数主語へ引き継ぐ。
同時に、何で満たすかが երկնաւոր առատութեամբ「天上の豊かさで」と明示されるため、§8 の「光・祝福・甘美」が §9 では具体的な霊的供給の語彙へ移る。
HMB2018 §91:
SG 主格 նա PL 主格 նոքա
したがって1は明瞭な主格複数で、4 լցուցանեն の3人称複数と一致する。
2 եւ はここでは二つの名詞句を結ぶだけでなく、「また、~も」という添加的働きを持つ。
§9 ではこの նոքա եւ が反復され、彼らの作用を一項目ずつ積み上げる列挙形式になる。
形態 lookup は կարաւտ について形容詞・名詞の双方を返す。
CALFA/NBHL も Կարօտ を adj.; s. とし、needy / poor / indigent と need / want の両用法を記録する。
本箇所では զ- を伴う対格複数で人物を直接指すため、名詞化形容詞「欠乏する者たち/困窮者たち」と採る。
Լցուցանեմ は「満たす、充足させる」。
CALFA/NBHL には、
Կերակրովք եւ ըմպելեօք զկարօտն լցուցանես
というほぼ同型の用例がある。
したがって本箇所の 格支配・項構造 は、
主語 Նոքա 主格複数 目的語 զկարաւտս 対格複数 V լցուցանեն PRES.IND.3PL FILL առատութեամբ 具格単数
で安定する。
6 առատութեամբ は Առատութիւն「豊かさ、充満、潤沢」の具格単数。
5 երկնաւոր は表面上、具格形に一致していないように見える。しかし HMB2018 §178 は、前置された多音節の形容詞的修飾語は屈折しないことを明記する。
したがって、
երկնաւոր առատութեամբ
は異常な不一致ではなく、正常な 前置無変化形容詞+具格名詞。
意味は「天上の豊かさで」。
HYC aligned surface は առատութեամբն だったが、1914 print adjudication は語末 -ն を支持しなかった。
そのため authoritative target は առատութեամբ で freeze されている。
これは本文批判上の surface 判定であり、具格単数という形態・文中機能には影響しない。
* Նոքա եւ — 「彼らはまた」。§9 の列挙を進める添加型。
լցուցանել + 対格 + 具格 — 「~を…で満たす」。CALFA に直接平行例あり。երկնաւոր առատութիւն — 「天上の/神的な豊かさ」。物質的充足ではなく §8 から継続する霊的価値を示す。* Agathangelos, Պատմութիւն Հայոց, §9 S001
երկնաւոր առատութեամբ。HYC の final -ն を採用しない。նա / նոքա の代名詞曲用。Կարօտ — needy / indigent、および名詞用法。Լցուցանեմ — 「満たす」。Կերակրովք եւ ըմպելեօք զկարօտն լցուցանես 等の直接平行。Առատութիւն — abundance / fullness / plenty。Երկնաւոր — celestial / divine。