アガタンゲロス『アルメニア人の歴史』 §2 第二文
原文
1զի 2թէպէտ 3եւ 4զինքեանս 5շարժունս 6տեսանիցեն 7ի 8վերայ 9յաղթ 10ջուրցն 11բազմութեան, 12սասանելոցն 13սարսափելոցն, 14սակայն 15զկարողելն 16առաջի 17ածեալ 18ընդ 19միտ՝ 20ջանան 21դիմագրաւեալք 22ընդ 23խռովութիւն 24ահագին 25ծովուն, 26զի 27թերեւս 28դարձեալք 29աւգտութեամբ 30զգիւտս 31իւրեանց 32խնդութեամբ 33ցուցանիցեն 34առ 35իւրաքանչիւր 36ընտանիս, 37եւ 38զպարծանս 39վաստակոյն՝ 40իւրեանց 41դրացեացն։
番号は下の「逐語分析」「構造図」の番号と対応する。
試訳
「というのも、たとえ彼らが、激しく揺れ震える巨大な水塊の上で、自分たち自身も揺れ動いているのを見るとしても、それでも、できるということを念頭に置き、恐るべき海の荒れに敢然と立ち向かって力を尽くすのである。あわよくば利益を得て帰り、自分たちの収益を喜びとともにそれぞれの家族に、また労苦の誇りを自分たちの隣人たちに示すことができるように。」
Zi tʿēpēt ew zinkʿeans šaržuns tesanicʿen i veray yałtʿ ǰurcʿn bazmutʿean, sasanelocʿn sarsapʿelocʿn, sakayn zkaroleln aṙaǰi aceal ənd mit՝ ǰanan dimagrawyealkʿ ənd xṙovutʿiwn ahagin covun, zi tʿerews darjealkʿ awgtutʿeamb zgiwts iwreancʿ xndutʿeamb cʿucʿanicʿen aṙ iwrakʿančʿiwr əntanis, ew zparcans vastakoyn՝ iwreancʿ dracʿeacʿn.
| No. | 語形 | Romanize | 品詞・形態 | 意味・機能 |
|---|---|---|---|---|
| 1 | զի | zi | 接続詞・談話標識。前文から生じる説明要求を受ける | というのも;ここでは説明・論証の開始 |
| 2 | թէպէտ | tʿēpēt | 譲歩接続詞 | たとえ~でも、~とはいえ |
| 3 | եւ | ew | 2 と թէպէտ եւ を形成 | ~であっても |
| 4 | զինքեանս | zinkʿeans | 再帰代名詞・対格複数;զ- 付き | 自分たち自身を |
| 5 | շարժունս | šaržuns | շարժուն・形容詞・対格複数;4 と一致する述語的形容詞 | 揺れ動いている |
| 6 | տեսանիցեն | tesanicʿen | տեսանել・接続法第一未来・3人称複数 | 彼らが見る、目の当たりにする |
| 7 | ի | i | 8 と ի վերայ を形成 | ~の上で |
| 8 | վերայ | veray | 7 と複合前置詞的表現 | 上、上方 |
| 9 | յաղթ | yałtʿ | 形容詞;10を前置修飾。不変化的前置用法 | 強大な、大いなる |
| 10 | ջուրցն | ǰurcʿn | ջուր・属格複数・定;11の内容属格、12–13の一致先 | 水々の、水の |
| 11 | բազմութեան | bazmutʿean | բազմութիւն・属格単数;7–8の属格補部の中心 | 大群、大量、水塊 |
| 12 | սասանելոցն | sasanelocʿn | սասանեալ・分詞.PAST.属格複数・定;10を後置修飾 | 揺れている、揺れ動く |
| 13 | սարսափելոցն | sarsapʿelocʿn | սարսափեալ・分詞.PAST.属格複数・定;10を後置修飾 | 震え、戦慄している |
| 14 | սակայն | sakayn | 譲歩主節を導く接続詞 | しかし、それでも |
| 15 | զկարողելն | zkaroleln | 名詞化不定詞・対格単数・定;17の目的語 | できるということを |
| 16 | առաջի | aṙaǰi | 副詞/前置詞的要素;առաջի ածել を形成 | 前に、眼前に、念頭に |
| 17 | ածեալ | aceal | ածեմ・分詞.PAST;15を目的語に取り16・18–19と一体の思考表現 | 持ち出して、念頭に置いて |
| 18 | ընդ | ənd | 19 と ընդ միտ ածել を形成 | 心に、思考に |
| 19 | միտ | mit | միտ・対格単数;18の補部 | 心、思考、念頭 |
| 20 | ջանան | ǰanan | ջանամ・直説法現在・3人称複数 | 力を尽くす、努める |
| 21 | դիմագրաւեալք | dimagrawyealkʿ | դիմագրաւեմ / դիմագրաւիմ 系・分詞.PAST.主格複数;20と同一主語を共有する付加的分詞 | 敢然と身をさらし、立ち向かって |
| 22 | ընդ | ənd | 前置詞;23を対格単数で支配 | ~に対して、~に向かって |
| 23 | խռովութիւն | xṙovutʿiwn | խռովութիւն・対格単数;22の補部 | 荒れ、激動、波立ち |
| 24 | ահագին | ahagin | 形容詞・対格単数;23を修飾 | 恐るべき、巨大な |
| 25 | ծովուն | covun | ծով・属格単数・定;23を属格限定 | 海の |
| 26 | զի | zi | 接続詞;20の行為の目的を導く | ~するために、~できるように |
| 27 | թերեւս | tʿerews | 副詞;目的を期待・可能性として弱める | あわよくば、ひょっとすれば |
| 28 | դարձեալք | darjealkʿ | 過去分詞・主格複数;33と同一主語を共有 | 帰って、帰還して |
| 29 | աւգտութեամբ | awgtutʿeamb | աւգտութիւն / օգտութիւն・具格単数 | 利益を伴って、利益を得て |
| 30 | զգիւտս | zgiwts | գիւտ・対格複数;33の第一目的語 | 収益を、得た利益を |
| 31 | իւրեանց | iwreancʿ | 再帰所有代名詞・属格複数;30を限定 | 自分たちの |
| 32 | խնդութեամբ | xndutʿeamb | խնդութիւն・具格単数;33を様態修飾 | 喜びをもって |
| 33 | ցուցանիցեն | cʿucʿanicʿen | ցուցանել・接続法第一未来・3人称複数 | 彼らが示す、見せる |
| 34 | առ | aṙ | 前置詞;36を対格複数で支配し受け手を示す | ~へ、~に |
| 35 | իւրաքանչիւր | iwrakʿančʿiwr | 分配的形容詞/代名詞的要素;不変化的に36を限定 | それぞれの |
| 36 | ընտանիս | əntanis | ընտանի 系・対格複数;34の補部 | 家族、家の者たち |
| 37 | եւ | ew | 接続詞;第二の目的語+受け手を並列 | そして、また |
| 38 | զպարծանս | zparcans | պարծանք 系・対格複数;33の第二目的語 | 誇りを、誇るべきものを |
| 39 | վաստակոյն | vastakoyn | վաստակ・属格単数・定;38を限定 | 労苦の、働きの |
| 40 | իւրեանց | iwreancʿ | 再帰所有代名詞・属格複数;41を限定 | 自分たちの |
| 41 | դրացեացն | dracʿeacʿn | դրացի・与格複数・定;33の第二の受け手 | 隣人たちに |
════════ A. 談話接続+譲歩節 ════════════════════════
[1] զի
接続詞・ 説明・論証を導く談話接続
「というのも」
│
└─ 第一文 の「死を予兆する」という危険描写から生じる
「それでもなぜ進むのか」という説明要求を受ける
↓
[2–3] թէպէտ եւ
concessive connector
「たとえ~でも」
│
└─ clause
↓
Øᵢ = 航海者たち
│
└─ [6] տեսանիցեն
接続法第一未来・3人称複数
「目の当たりにするとしても」
│
├─ 目的語 + predicative adjective
│ [4] զինքեանս
│ 対格複数
│ 「自分たち自身を」
│
│ [5] շարժունս
│ 形容詞・対格複数
│ 「揺れ動いている」
│
└─ LOCATIVE
[7–8] ի վերայ
「~の上で」
│
└─ 属格補語
[11] բազմութեան
属格単数 / 中心語
「大群・大量/水塊」
│
└─ content GEN
[10] ջուրցն
属格複数・定
「水々の」
│
├─ [9] յաղթ
│ 不変化する前置形容詞
│ 「強大な」
│
├─ [12] սասանելոցն
│ 分詞.PAST.属格複数・定
│ 「揺れている」
│
└─ [13] սարսափելոցն
分詞.PAST.属格複数・定
「震えわななく」
全体:
「激しく揺れ震える巨大な水塊の上で、
自分たち自身も揺れ動いているのを見るとしても」
════════ B. սակայն 以下の主節 ════════════════════════
[14] սակայն
「しかし、それでも」
│
↓
Øᵢ = 航海者たち
│
├─ [15–19] զկարողելն առաջի ածեալ ընդ միտ
│
│ [15] զկարողելն
│ nominalized 名詞化不定詞・対格単数・定
│ 「できるということを」
│ │
│ └─ 目的語 of [17] ածեալ
│
│ [16–19] առաջի ածեալ ընդ միտ
│ 「心の前に持ち出して」
│ →「念頭に置いて」
│
└─ [20] ջանան
直説法現在・3人称複数
「力を尽くす/努める」
│
└─ 同一主語の 補助的な participle
[21] դիմագրաւեալք
分詞.PAST.主格複数
語彙見出し: դիմագրաւեմ / դիմագրաւիմ
「敢然と身をさらし、立ち向かって」
│
└─ [22–25] ընդ խռովութիւն ահագին ծովուն
[22] ընդ + ACC
[23] խռովութիւն 対格単数
[24] ահագին 形容詞・対格単数
[25] ծովուն 属格単数・定
「恐るべき海の荒れに」
════════ C. 目的節 — զի թերեւս ... ցուցանիցեն ════════
[26] զի
purpose connector
「~するために/~できるように」
│
└─ [27] թերեւս
「あわよくば/ひょっとすれば」
│
↓
Øᵢ = 航海者たち
│
├─ [28] դարձեալք
│ 分詞.PAST.主格複数
│ same subject as [33]
│ 「帰還して」
│
├─ [29] աւգտութեամբ
│ 具格単数
│ 「利益を得て」
│
└─ [33] ցուցանիցեն
接続法第一未来・3人称複数
「示すことができるように」
│
├─ MANNER
│ [32] խնդութեամբ
│ 具格単数
│ 「喜びをもって」
│
├─ pair 1
│ 目的語 [30–31] զգիւտս իւրեանց
│ 「自分たちの収益を」
│
│ RECIPIENT [34–36]
│ առ իւրաքանչիւր ընտանիս
│ առ + 対格複数
│ 「それぞれの家族に」
│
└─ pair 2
目的語 [38–39] զպարծանս վաստակոյն
「労苦の誇りを」
RECIPIENT [40–41] իւրեանց դրացեացն
与格複数・定
「自分たちの隣人たちに」
════════ D. 文全体 ═══════════════════════════════════
[1] զի
「というのも」
↓
[2–13]
「たとえ、激しく揺れ震える巨大な水塊の上で、
自分たち自身も揺れ動いているのを見るとしても」
↓
[14] սակայն
「それでも」
↓
[15–25]
「できるということを念頭に置き、
恐るべき海の荒れに敢然と立ち向かって力を尽くす」
↓
[26–41] PURPOSE
「あわよくば利益を得て帰り、
自分たちの収益を家族に、
労苦の誇りを隣人たちに示すことができるように」
第一文 では、波そのものが満ち上がり、窪みこみ、轟音を立て、「死を予兆する」ものとして描かれた。第二文 はそこから航海者たちへ視点を戻し、そのような危険を目の当たりにしながらも、なぜ彼らが退かず航海を続けるのかを説明する。
冒頭 1 զի は、この談話転換に関わる。狭く、
「波が死を予兆する。 なぜなら航海者が努力するから」
という因果関係を作るのではない。むしろ 第一文 の強い危険描写が生む、
「死が目前にある。 それでも、なぜ彼らは進むのか。」
という説明要求を受け、後続の թէպէտ … սակայն … によって答えを展開する談話標識と読む。
この読みには §1 第七文 の作者内平行例が重要である。そこでも文頭に、
զի թէպէտ եւ տեսանիցեն ...
が現れ、直前文で述べられた「彼らは自分自身を引き換えに差し出す」という危険な行為から生じる説明要求を受けて、譲歩構文による説明を開始する。第二文 はこの修辞的運用をほぼそのまま再現している。
揺れる海と揺れる航海者
譲歩節では、
զինքեանս շարժունս
「自分たち自身が揺れ動いている」
⇅
ջուրցն ... սասանելոցն սարսափելոցն
「揺れ、震える水々」
が呼応する。
12–13 սասանելոցն սարսափելոցն は、初見では 第一文 ըմբռնելոցն と同じく未来分詞との同形衝突を疑う必要がある。しかし HMB/BAG の曲用規則、Agathangelos §267 の ալեացն խռովելոց յուզելոցն … կուտակելոցն、CALFA/NBHL が本箇所を Սասանիմ・Սարսափեմ / Սարսափիմ に引くことから、10 ջուրցն を修飾する過去分詞複数斜格形を採用する。
9–11 は、
[յաղթ ջուրցն] բազմութեան 「強大な水々の大群」
と読む。CALFA Յաղթ 項には Խռովեցան յաղթ ջուրք という直接例があり、Agathangelos 自身にも յաղթ մարմնով など前置 յաղթ の不変化用法がある。10–11 ջուրցն բազմութեան は §176 մարդկան բազմութեան と同型の 属格複数 + բազմութիւն 構造である。
「できる」という命題を念頭に置く
15–19、
զկարողելն առաջի ածեալ ընդ միտ
は 「できるということを念頭に置いて」 と読む。
15 զկարողելն は抽象名詞「能力」ではなく、対格定形の名詞化不定詞で命題内容「できるということ」を表す。CALFA の ի մտի եդեալ զոչ կարողելն「できないということを心に置いて」が直接的な平行例となる。
何を「できる」のかは明示されない。危難を切り抜けること、航海目的を達成すること、利益を得て帰還することを広く包むものとし、「海に勝つ」など一義的な補語は補わない。
海の荒れに身をさらして進む
20–25 では、20 ջանան「力を尽くす」が主定動詞、21 դիմագրաւեալք は同じ航海者たちを主語とする 分詞.PAST.主格複数 である。
CALFA/NBHL は դիմագրաւեալք を Դիմագրաւեմ と Դիմագրաւիմ の双方に収録するため、語彙見出し は両形を併記する。ただし意味上は受動「対抗された」ではなく、自動・中動的な「自ら危険に身をさらす、敢えて向かう」が明確である。
22–25、
ընդ խռովութիւն ահագին ծովուն
は ընդ + ACC。23 խռովութիւն は海・波の文脈で「騒擾」と抽象化するより、「荒れ、激動」と読む。したがって全体を、
「恐るべき海の荒れに敢然と立ち向かって力を尽くす」
とする。
航海の目的 — 収益と「労苦の誇り」
26 զի は、ここでは20 ջանան の意志的行為を受ける目的節を導く。HMB2018 §189 の目的従属節に合う。27 թերեւս がこれを「必ずそうなる」目的ではなく、「あわよくば/ひょっとすれば」という期待として弱める。
28 դարձեալք は33 ցուցանիցեն と同一主語を共有する 分詞.PAST.主格複数。29 աւգտութեամբ は、後続する §2–§3 の貧困・負債・利益の文脈から「有益さ」より 「利益を得て」と読む。
33 ցուցանիցեն は 接続法第一未来・3人称複数 で、「示すことができるように」。その目的語と受け手が二組並ぶ。
[զգիւտս իւրեանց]
「自分たちの収益を」
↓
[առ իւրաքանչիւր ընտանիս]
「それぞれの家族に」
եւ
[զպարծանս վաստակոյն]
「労苦の誇りを」
↓
[իւրեանց դրացեացն]
「自分たちの隣人たちに」
30 գիւտ は「発見」だけでなく profit / gain を持ち、Agathangelos の文脈でも利益語彙と結びつくため 「収益」を採用する。39 վաստակ は「労苦」と「利益」の双方を持つが、前半ですでに աւգտութիւն / գիւտ が実利を表すため、38–39 は 「労苦の誇り」とし、
家族には 収益という実利、
隣人には 労苦の誇りという社会的価値
を示すという対照を読む。
1 զի — 文レベルの原因節より、説明・論証開始の談話標識
HMB2018 §189 は զի が原因節を導きうることを認め、その場合は主節行為の原因を表し、通常後置すると記述する。
本箇所の զի は文頭に立ち、その直後に完結した թէպէտ … սակայն … 譲歩構文全体を導く。また §1 第七文 に同じ զի թէպէտ … 型があり、そこでも先行文脈から生じる説明要求を受ける。
したがって本箇所では、狭義の原因従属節として 第一文 の գուշակեն「予兆する」に直接係らせず、先行談話を受けて説明・論証を開始する discourse-level connector とする。
6・33 տեսանիցեն / ցուցանիցեն — 接続法第一未来3複
HMB2018 §114, §118 の活用表により、e 活用の不完了語幹から作る 接続法第一未来・3人称複数 と確定する。
տեսան- + -իցեն → տեսանիցեն ցուցան- + -իցեն → ցուցանիցեն
具体的なモダリティは接続環境によって決まる。
թէպէտ ... տեսանիցեն 「たとえ……を見るとしても」 զի ... ցուցանիցեն 「……を示すことができるように」
9–13 — յաղթ ջուրցն բազմութեան, սասանելոցն սարսափելոցն
10–11 は ջուրցն 属格複数・定 が 11 բազմութեան 属格単数 を内容属格で限定する。
9 յաղթ は10を前置修飾する。CALFA Յաղթ 項の Խռովեցան յաղթ ջուրք、Agathangelos 自身の յաղթ մարմնով が、不変化的な前置修飾を支持する。
12–13 は、
սասանեալ → սասանելոցն սարսափեալ → սարսափելոցն
という過去分詞の複数属格定形。10 ջուրցն と数・格を一致させた後置修飾語として採用する。未来分詞説は形態上検討済みだが、有力な別解 には残さない。
15 զկարողելն — 名詞化不定詞
զ- + կարողել + -ն ACC + nominalized infinitive + DEF
不定詞は動詞名詞として単数曲用し、対格目的語となりうる。CALFA の、
ի մտի եդեալ զոչ կարողելն 「できないということを心に置いて」
が本箇所に近い。
16–19 առաջի ածեալ ընդ միտ — 「念頭に置いて」
GHAZ2012 は、
ԱՌԱՋԻ ԱԾԵԼ 「眼前・念頭に持ってくる、考える」 ԱԾԵԼ ԸՆԴ ՄԻՏ 「考える、心に思い浮かべる」
をそれぞれ立項する。本箇所では両表現が重なり、「できるということを心の前へ持ち出して」→ 「できるということを念頭に置いて」となる。
20–25 — 定動詞+同一主語の過去分詞
20 ջանան は 直説法現在・3人称複数。21 դիմագրաւեալք は 分詞.PAST.主格複数 で、同じ複数主語を共有する。HMB2018 §177 の同一主語をもつ過去分詞+定動詞の構文に合う。
ջանամ が「~しようと努める」の補語を取る場合は不定詞が普通であるため、21を20の不定詞補語とみる必要はない。
22 ընդ は23を 対格単数 で支配する。23 խռովութիւն は NOM/対格単数 同形だが、ここでは前置詞支配により 対格単数。24 ահագին も 対格単数、25 ծովուն は 属格単数・定。
26–41 — 目的節と二組の「示す物/受け手」
HMB2018 §189 は目的節が զի / որպէս զի / վասն զի で導かれうることを記述する。本箇所は、
ջանան ... └─ զի ... ցուցանիցեն
という意志的主節+後置目的節である。
ցուցանեմ は辞書例で、
ցոյց մեզ զողորմութիւնս 「われわれに慈しみを示せ」 ցուցանել նոցա զխորհուրդն 「彼らに計画を示す」
のように「示す物=ACC、相手=DAT」を取る。
本箇所では第一の受け手が առ + 対格複数、第二が裸の 与格複数・定 で表現される。
目的語 զգիւտս իւրեանց REC առ իւրաքանչիւր ընտանիս 目的語 զպարծանս վաստակոյն REC իւրեանց դրացեացն
という二項並列を採用する。
ԱՌԱՋԻ ԱԾԵԼ / ԱԾԵԼ ԸՆԴ ՄԻՏ
「眼前・念頭に置く、考える」。本箇所では両者が重なって強い思考表現を作る。
դիմագրաւ լինել / դիմագրաւել
「自ら危険に身をさらす、敢えて向かう」。本箇所では海の荒れを対象に取り、「敢然と立ち向かう」と訳す。
ցուցանել + 物 + 受け手
ցուցանեմ は示す内容を対格、受け手を与格等で表す。本箇所の二組の平行構造を支える。
- Agathangelos, Պատմութիւն Հայոց, §2 第一文–第二文;作者内平行例として §1 第七文, §176, §267、および յաղթ մարմնով の用例。
- HMB2018, §59 — 不定詞の曲用;§83 — 形容詞の前置・後置と一致;§114, §118 — 接続法第一未来;§157 — առ の格支配;§158 — ընդ の格支配;§177 — 同一主語の過去分詞+定動詞;§189 — 目的節・原因節等。
- BAG1852, §§1251, 1254 — -եալ 過去分詞の斜格・-ելոց 型;不定詞・省略等の関連記述。
- ABE1936 — 名詞的・屈折可能な不定詞、および譲歩構文の関連記述。
- JEN1959 — թէպէտ / թէ եւ 系譲歩構文の関連記述。
- CALFA / NBHL — Սասանիմ, Սասանեմ, Սարսափեմ, Սարսափիմ, Յաղթ, Բազմութիւն, Կարող, Առաջի, Միտ, Դիմագրաւ, Խռովութիւն, Գիւտ, Վաստակ, Ցուցանեմ, Իւրաքանչիւր 等;ի մտի եդեալ զոչ կարողելն の平行例。
- GHAZ2012 — ԱԾԵԼ ԸՆԴ ՄԻՏ, ԱՌԱՋԻ ԱԾԵԼ。
